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【修羅場】うちの母ちゃん凄いぞ 前編【体験談】

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<>1名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:16:51.62ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃん48歳
自分23歳

オヤジの借金で家に乗り込んできた893相手に
「そんな雷おこしみたいな髪の毛して!恥ずかしくないの!?」と
馬頭して追い返した事のある母ちゃん。

ありがちな、母ちゃんが死んじゃうオチや、母ちゃんが病気しちゃったオチはないけど、
ちょっとお前らに母ちゃんを自慢したかったのでスレ立てた。

<>2名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:17:36.65ID:Ax0QvrS80<>

自分は3人兄妹。3つ上の兄と、7つ下の妹に挟まれた真ん中。
母ちゃんはどこにでもいるような母ちゃん。
若い俳優にキャーキャー言うし、
パートから帰ってきたらオヤジにパート先の愚痴をこぼしたり、
普段はお菓子なんか作らないくせに、
自分や兄妹の友人が遊びにきた時だけクッキーやマドレーヌを焼いて、

「いつも作ってるんだけど、今日はちょっと失敗しちゃったわぁ」

とか言って焦げた手作りお菓子を友達に振舞うような、見栄っ張りな母ちゃんだ。

<>7名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:18:54.69ID:Ax0QvrS80<>

例えるなら、クレヨンしんちゃんの「みさえ」がぴったりだろうな。
そんな母ちゃんだったんだけどさ。
自分が14歳の時、オヤジの借金が発覚したんだよ。

元々詐欺みたいな学習用品のセールスをしてたオヤジは、
その会社でずっとトップセールスマンでな。
自分が9歳(妹が赤ちゃんの頃だな)くらいまでは月収手取りで100万以上稼いでたらしい。

そんな高収入(だった)オヤジが借金を始めたきっかけは、バブル崩壊。
バブルが弾けてからどんどん売上も落ちていくし、どんどん給料も落ちていって、
オヤジの手取りが20万を切るのはそう遅くなかったようだった。

<>10名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:20:03.43ID:Ax0QvrS80<>

『来月は頑張る』『来月こそは』というのがオヤジの口癖のようになっていって、
100万の収入は、20万16万10万…と、カウントダウンのように減っていった。

母ちゃんは「パートへ出る」と言ったんだけど、
オヤジが「いや、来月こそは絶対稼いでくるから!」と母ちゃんを引きとめて、
貯金を切り崩す生活をしばらく続けていたようだ。

<>12名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:20:49.63ID:Ax0QvrS80<>

当時妹はまだ2歳とかだったし、自分も9歳。
そして兄がちょうど中学校に入学する、そんな大切な時期だったからこそ、
母ちゃんに家にいてみたかったみたいだけど、オヤジの収入が8万を切った

(家のローンがいよいよ払えなくなった)時点で、オヤジは何も言わなくなった。

オヤジが静かになったのを見計らって、缶工場へパートへ出た母ちゃん。
自給800円、月8万円余りの収入でも、大分家計は助かっていただろう。

<>14名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:21:30.56ID:Ax0QvrS80<>

だが、やはり母ちゃんがパートをしてるのを快く思わなかったのであろうオヤジ。

何を思ったのか、サラ金から生活費を借りて
「ほら、一時期収入も落ち込んでたけど、また100万くらい稼げるようになったぞ」
「だからお前もパートを辞めなさい」
サラ金から借りた札束をひらひらさせながらそう言ったオヤジ。

母ちゃんはパートさえ辞めなかったけど、それでも、
『あぁ、これで生活が安定する』と思っていたらしい。
ほっと安心する母ちゃんの顔を見て、オヤジは能天気に
「笑った顔が可愛いなぁ」と思っていたらしい(後日談)

<>19名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:25:15.26ID:Ax0QvrS80<>

しかし、いよいよ。自分が14歳、中学二年生の時だな。
危ない所から生活費を借りてたオヤジの付けが回ってきたようで、
昼夜問わず893が家に来るようになった。

今みたに回収が甘くないからな、平気で扉をドンドン叩くし、
時間なんか関係なしにインターフォンも鳴らし続ける。

893が来ない日でも、ポストには“融資可能”“審査なしで即融資”と書かれたDMが沢山入ってた。
サラ金から金を借りきれなくなったオヤジが、ヤミ金へ手を出した証拠だったんだけどさ。

<>20名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:26:24.33ID:Ax0QvrS80<>

家に来る893、そして仕事してんだかしてないんだか分からないオヤジ。
17時までだったパートの時間に、残業をいれ始めた母ちゃん。
全てに嫌気がさした自分、当時中学2年生。
厨二病まっさかりなその時期、家の混乱を受け入れられなくて、こう思った。

「あ、頭おかしくなろう」

<>23名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:29:58.82ID:Ax0QvrS80<>

頭がおかしくなれば、精神病っぽくすれば、家族はみんな自分を心配してまた元に戻るかも!!

まぁ当時は本気でそう思ってな、中学3年生に上がったばかりの頃、精神病っぽく装い始めた。
どう装ったかといえば、今も昔もエセメンヘルに大人気の、多重人格(笑)だよ。

ほんとにこの病気で悩んでいる人、もしいたら、不謹慎ですまん。

<>25名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:32:22.02ID:Ax0QvrS80<>

多重人格を装うのは意外に簡単だった。
簡単2ステップだ。

「あ…!頭が…!!」
と言いながら、頭を抱えてうずくまる
「ふふふ…私は誰か分かるか?」

これでエセ多重人格の完成

<>29名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:36:19.80ID:Ax0QvrS80<>

しかし両親、そんな厨二病と向き合った事がなく、本気で自分の頭を心配してくれたようで。
何度も何度も病院へ連れていってくれた。

その間もずっと、オヤジの借金取りは自宅へ来るし、
まだ小学2年生だか3年生だかの妹の方が、よっぽど精神的に辛かったなんて知るよしもなく。

エセ病気のふりをする度に両親が力を合わせて病院探しに熱中しているのを見て、
「あぁ、これでまた幸せな家族に戻れる」とか本気で思っていた。

<>32名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:39:52.80ID:Ax0QvrS80<>

そしてある日だ。
中学3年生の夏休み。自分は自宅にいて、アニメスペシャルを見ていた。
はずだったのだが。気づいたら病院にいた。

気付いたら、というのが遅すぎたようで、丸々2週間人工呼吸機で命をつないでいたようだった。

原因は首つり。

首を吊った覚えなんかないし、
夏休みアニメスペシャルのスラムダンクを見ていた記憶しかない自分は、
病院、というか集中治療室で目が覚めてマジでびびった覚えがある。

<>33名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:43:07.21ID:Ax0QvrS80<>

正直、この時母ちゃんが見舞いに来て鏡越しに
なんか涙ぐましい事言ってた覚えはうっすらあるが、ぶっちゃけ覚えてない。

ただ、集中治療室で流れてたラジオの音しか、今でも記憶はない。

どうやら、多重人格を装っていた自分は、まじで多重人格になってしまったようで、
他の人格が首つり自殺を図ろうとしたらしい。

だけどな、2週間意識不明、しかも首つり。
母ちゃんが「なんか胸騒ぎがするから」っていう理由で
自宅に戻ってきて自分を発見してくれて
救助されたようだが、マジで覚えてない上に、
医者が心配するような後遺症も全然感じられない

<>35名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:45:44.51ID:Ax0QvrS80<>

結局そのまま3カ月入院。
後遺症はなかったが、再発防止とかいって、
変なカウンセラーの元で何度も変な絵を描かせられたりする日々で
貴重な受験期間を潰してしまった。

まぁお約束のように、自分は高校受験に失敗。
中卒ニートで、毎日毎日家で薬を飲みながら生活していたわけだ。

<>37名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:49:34.52ID:Ax0QvrS80<>

趣味は2ちゃんとアニメ。外出は週に一度の精神科通院。
あーら見事に絵に描いたようなメンヘラが出来あがった訳だが、
相変わらずオヤジの借金とりは家に来るし、ヤミ金DMも毎日のように届く。

みかねた母ちゃんがオヤジをけしかえるように、
パートで働いていた缶工場で社員として働くようになった。

その頃トラックの運転手に転職してたオヤジ。
そこそこ稼いでいた物の、母ちゃんの収入にあっというまに並ばれていた。

<>40名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:53:17.14ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんに収入も並ばれ、自分のせいで出来た借金で毎日家族が取り立てられる毎日。

ストレスがたまったオヤジは、
仕事帰りに自宅で酒を飲みながら意味不明な言葉をずっと叫んでいた。

「ダァっ!!!」

みたいな言葉だったな。今でも意味わからん。

兄は高校へ行きながらバイトもして、自宅へ戻らないよう彼女の家へ入り浸ったりしていたが、
どうしようもならなかったのが妹だ。
まだ小学3年生。幼いながらに893と話したり、ニートの自分と遊んでくれたりしていた。

<>41名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)03:57:12.42ID:Ax0QvrS80<>

だけど、また自分は首つりをした“らしく”、気づいたら病院へいた。
医者から、また無意識でやったんですよと言われて、
何をしているんだろうと罪悪感でいっぱいになった覚えがある。

そしてまた入院。今度は長めで、5カ月の入院。退院する頃には、同級生はもう高校二年生。
いったい私は何をしてるんだろう、と思う中、一人元気なのは母ちゃんだった。

<>43名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:00:12.40ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんは、見舞いにきながら毎日のように自分へこう言ってくれた。

「もう一人の自分がいるなんて凄いじゃん!別に恥ずかしい事じゃないよ」
にこにこしながらそう言ってくれて、仕事に家事に忙しいはずの体で毎日見舞いに来てくれた。

だけど、そんな家庭環境に限界が来てしまったのは妹で、
ある日母ちゃんと見舞いにきた妹が、うつむきながら言った。

「お姉ちゃん、私、おしめしてるの」

<>47名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:03:02.58ID:Ax0QvrS80<>

どうやら、尿意が分からなくなってしまい、気づくと漏らしてしまうらしい妹。
大人用のおしめをつけて生活しているという。
びっくりしたが、妹はにこにこしていて、早く直さないとプールに入れないと言っていた。

この一件が原因なのかどうなのかは分からないが、自分が退院してすぐ、
母ちゃんとオヤジは離婚する事になったと言った。

離婚する理由は、あくまでも
「893の追い込みから妹を守る事」
だったが、本当の理由なんか明確だと思った。

<>48名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:06:45.58ID:Ax0QvrS80<>

しかし、どんなオヤジでもオヤジはオヤジ。
そして、自分が病気になったそもそもの理由だって、両親が仲良くなってほしいから、であって。
最後まで両親の離婚に反対したのは自分だった。

当然ながら、親権は母ちゃんに。しかも母ちゃん、兄と私と妹、3人まとめて引き取るという。
オヤジはこれから膨らみに膨らんだ数千万の借金のために
自己破産手続きをしなくてはいけないので、親権をとる事は出来ないというし。

だけど、母ちゃん一人の稼ぎで3人も育てていけるのか?と。
母ちゃんに引き取られると聞いてすぐに思ったんぽはそれだった。

<>53名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:13:34.21ID:Ax0QvrS80<>

当時の母ちゃんの稼ぎ、
正しくは知らないけど工場の事務正社員なわけで、よくて20万くらいだろう。
そして、この予想は限りなく当たっていると思う。

オヤジに養育費なんか払う技量はないし、兄も高校をやめるつもりはないらしい。
しかも自分ニートだし。

どうすんだ、と思って母ちゃんに聞いたら、
「なんとかなるでしょ、大丈夫大丈夫」
とけらけら笑っていた。

そういえば、自分が自殺未遂を起こした時も、893がおしかけてきた時も、
母ちゃんは一度も涙を見せた事がないな、と思っていた。

<>58名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:18:05.29ID:Ax0QvrS80<>

離婚してからすぐ、まだ母ちゃんとオヤジは同じ家に住んでいて、
母ちゃんと自分等の自宅が決まるまで離婚済みの同居生活をしていた。

何で母ちゃんが出ていかなきゃいけないのか、と当時は思ってたけど、
893にばれている住所に子供たちを住まわせる訳にいかないからな、と今なら事情は分かる。

その頃家は、毎日お葬式みたいだった。
ニートの自分に、家に帰ってこない兄。そして、おもらししては一人泣く妹。酒を飲んで泣くオヤジ。
どんより暗い家の中でも、母ちゃんだけは一人元気だった。

<>62名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:21:50.88ID:Ax0QvrS80<>

ある日そんな葬式みたいな家に、会社の制服姿のまま帰ってきた母ちゃん。

手に住宅情報誌を持って、
「発表があります!」
と万面な笑顔で自分と妹とオヤジへ声をかけてきた。

「家が決まりました!」
と言って、住宅情報誌の付箋が貼ってあるページをめくった母ちゃんは、
3LDKのマンションの見取り図を指さして、
「ここがあたらしい家だよ」と言った。

家賃13万。どう考えても、母ちゃんの収入じゃやっていけない言えだった。

<>68名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:27:31.50ID:Ax0QvrS80<>

駅から徒歩10分。新築でもないが、オートロックのマンション。
前の借主は、地元の女医さんらしい。
写真を見たが、どう考えても綺麗過ぎる。全部屋フローリングで、一番狭い部屋でも6畳あるし。

「こんな部屋借りたらやっていけないだろ」
オヤジが申し訳なさそうに言ったら、母ちゃんは鼻の穴を膨らませて、こう言った。

「あなた、私の収入知らないでしょ」
「知ってるさ。子供の前だから金額は言わないけど…」
「じゃあ、私が 主 任 になったのは知らないでしょ?」

えっへん、と漫画に出てくるような擬音付きで膨らんだ鼻の穴から息をふきだした母ちゃん。

<>74名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:30:51.22ID:Ax0QvrS80<>

凄いじゃん!とか、言ったか言わないか覚えてないが、
その場にいた全員で「えぇええええええええ」となったのはよく覚えてる。

離婚が決まってから仕事に勤しんで、
頑張って頑張って事務主任の座にまで上り詰めたらしい母ちゃん。

子供3人W守らなきゃ!という一心で、ほとんど寝ずに仕事をしてたらしい。
あの時初めて、母ちゃんが大分痩せていた事に気付いた。
元々痩せていたけど、更に小さくなっていた、というか。

<>87名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:36:37.56ID:Ax0QvrS80<>

手取りで18万〜20万くらいの給料が、20数万に上がったらしい母ちゃん。

パートからここまでのし上がったのは凄いと思うが、
それにしてもまだまだ家賃13万のマンションで生活出来るとは到底思えない。
どうするつもりなのかめちゃくちゃ心配だった覚えしかない。

これだけ稼いでしまうと、県や国からの母子家庭手当ももらえないしな。

だけど母ちゃんは、
「まぁ、何とかなるでしょ」
が口癖で、強引にそのマンションへの引っ越しを決めてしまった。

<>99名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:41:13.23ID:Ax0QvrS80<>

引っ越し当日、オヤジはこの世の終わりみたいな顔してたけど、
母ちゃんが
「ちゃんと出直したらまた一緒に暮らしましょ」
と声をかけていて、少し表情が和らいでいた。

結局今でもオヤジとは一緒に暮らしていないけど、
当時、母ちゃんのその言葉はオヤジにとって何よりの励みになっていたと思う。

オヤジと最後の飯を食べた時、母ちゃんは自腹でオヤジが大好きなすきやきを作って、
久々に兄も一緒に家族5人でご飯を食べた。
その日だけは、妹もおもらしをしなかったし、みんな全員笑ってたっけな。

<>109名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:47:46.04ID:Ax0QvrS80<>

引っ越し先のマンションは、とにかく綺麗だった。

先にも言ったが、自分の母ちゃんはクレヨンしんちゃんのみさえみたいな母ちゃんだからな、
想像つくと思うが、とにかく見栄っ張りなんだよ。

収入が増えたら増えたで、安い長屋とかに住んで金貯めて家買えばいいのに、
「汚い家はいやだ!」
(長屋住まいごめんな)とか言ってとにかく綺麗な暮らしをしたがる。

母ちゃんが凄いのはここから。
綺麗な暮らしをしたがればしたがるほど、もちろんお金もかかってくるだろ。

「お金がないなら稼げばいいのよ!」
とか言って、訳わからん資格の勉強をしたり、
たかが主任なのに社長に直々「会社をよくするため」とかいって企業改革提案をしたり。

働いて、家事して、おもらしが止まらない妹を病院へ連れていって、勉強して。
一体いつ寝てるんだろう、と。相変わらずニートをしながら、母ちゃんを見て思っていた。

<>116名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:52:26.83ID:Ax0QvrS80<>

そんな母ちゃんを見て、高校卒業まじかの兄は高校卒業したらすぐ働いて母ちゃんを助けるといった。
母ちゃんは、ガリガリに痩せた顔でもまっすぐな笑顔で、
「お前(兄)が大学出るだけのお金はもう貯まってるから、進学しなさいよ」と言ってた。

兄はなぜかぼろぼろ泣いてて、母ちゃんにお礼を言ってたけど、
自分の事で手いっぱい(笑)なニートな自分は、なぜ兄が泣いてて、
なぜ母ちゃんが笑顔なのかよく分からなかった。マジで。

<>122名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)04:57:00.23ID:Ax0QvrS80<>

だけど結局、進学をやめてフリーターになった兄。
就職しなかった理由をつい最近話してくれたが、
どうやらまだ当時父親の借金で両親が離婚している、という事実は就職活動で不利だったらしく、
思っていた職につけなかったからと言っていた。

アルバイトで稼ぎながら、母ちゃんにお金を入れている兄をみて
「偉いなぁ」とは思いつつも、自分も働いて母ちゃんを助けようという意識は皆無だった自分。

そして、母ちゃんの仕事が忙しくなるにつれて酷くなる妹のおもらし。
ついには小学校へ登校しなくなり、
毎日毎日、ニートの自分と一緒にポケモンをして時間を潰すようになっていった。

<>137名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:06:01.59ID:Ax0QvrS80<>

アルバイトをしながら稼いだお金を母ちゃんへ渡す兄を見て、
えらいなぁと思いながらも自分は何もしようとは思わなかった。

そしてその頃になると、母ちゃんは現場責任者の仕事もしてほしいと言われていたようで、
フォークリフトの動かし方から、専門的な機材の動かし方まで、日々勉強していたようだった。

<>142名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:09:53.58ID:Ax0QvrS80<>

当時の母ちゃんの一日。

朝5時起床。
不登校の妹と、ニートの私、そして兄のために朝食と昼食を作り、自分の弁当を作る。

昼休み12時頃必ず帰宅。
妹と自分と一緒に弁当を食べる。
食べてすぐ会社に戻る。

夜9時頃帰宅。
家事、夕食作り。

その後勉強。
深夜起床。

そんな生活だったが、母ちゃんが弱音をはいた事はない。
今でも、別に当時の生活はつらくなかったと言い張る。

<>146名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:12:32.96ID:Ax0QvrS80<>

妹のおもらしが酷くなり、不登校が数カ月続くと自然と妹の通院日数も増えてくる。
ついに現場責任者となった母ちゃんは仕事を抜け出す訳にもいかず、
唯一の休憩時間を使って妹を病院へ連れていく日々を送ってた。

お前ニートなんだからお前が病院へ連れていけよ、と思うだろ?
あぁ、今ならそう思うが、当時はそんな考えは微塵もなかったな。
ただ、母ちゃんは大変だぁって思いしかなかった。

<>153名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:15:57.75ID:Ax0QvrS80<>

だけどある日、母ちゃんが夜中にせき込んでるのを聞いた。
ただの風邪だ、と言い張るけど、どう考えても顔真っ赤だし、声はがらがらだし、
体は鶏がらみたいだし、悪い病気の人みたいな風貌。

「お前が頑張って“社会へ戻る勉強”が出来るように、
母ちゃん頑張らなきゃいけないから、こんな事でへこたれてられない」とか言って、
難しい本をひたすら読んでなんかノートを書いてた母ちゃん。

その姿を見て、ちょっとだけ心が揺らいだ。

<>158名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:19:31.24ID:Ax0QvrS80<>

心が揺らいだけど、何をしていいかよく分からなかった自分。
いや、働けよと思うが、働こうという意思は皆無だったからなぁ。
家事もやり方なんぞ分からないし、料理だって出来ない。

さてどうしよう、と思って、何もしなくていいか、とは思いつつ。
だけどなんか揺らいだこの気持ちを形に残したいと思った自分。
一日妹とポケモンしながら考えてた所、テレビである特集をしていた。

<>167名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:23:48.51ID:Ax0QvrS80<>

疲れた体には甘い物が一番!みたいな特集で、
家庭で簡単に出来るお菓子作り!みたいなワイドショーにありがちなテレビのワンコーナーだった。

プリン作りの特集で、美味そう…と思った自分は、
卵と砂糖と牛乳というシンプルな材料で作れるそのお菓子を作ってみたくなった。

あ、言っておくけど、別に母ちゃんに作ってあげようと思ったわけじゃない。

ただ、なんかエネルギーがわいて、美味しいプリン作れたら、なんか自分、変われるかも!
みたいな、何の根拠もないやってみよう精神だけだったけどな。
きっと、このなんかとりあえずやってみようかな精神は、ニート経験者なら分かってくれると思う。

<>169名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:27:27.62ID:Ax0QvrS80<>

相変わらずおむつをつけたままの妹と一緒に、プリン作りを始めた自分。
プリンが好きな妹から、
「出来たらひとつちょうだい」
と可愛くおねだりされたから、自分の分と妹の分、合計二つつくろうと思った。

プリンの型なんかないから、どんぶりを代用して作ったプリン。
蒸し器に入れてから、あとは出来あがったプリンを冷蔵庫に入れるだけ
となった所で、強い強い達成感から睡魔が襲ってきた。

何とか蒸し終えたプリンを冷蔵庫に入れて、妹と二人、ソファーで昼寝をした。

<>180名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:30:58.26ID:Ax0QvrS80<>

目が覚めたらすっかり夜で、隣で寝てたはずの妹がいなかった。
寝ぼけた頭で妹を探したら、キッチンで母ちゃんと一緒に、妹はいた。

自分は目が悪いので、眼鏡をかけない状況で視界がぼやけていたけど、これだけは分かった。
母ちゃんが、声を上げて泣いていた。
母ちゃんの泣き声に驚いて、慌てて眼鏡をかけてキッチンへ向かうと、
どんぶりに入ったプリンを食べながら、母ちゃんがぼろぼろに泣いてた。

<>189名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:36:04.82ID:Ax0QvrS80<>

オムツをつけた妹が、「お姉ちゃん、おはよう」と笑って、
「私、食べきれなかったからお母さんにプリン半分あげたの。
お姉ちゃんの分はちゃんと冷蔵庫にあるよ」と言った。

なんで妹のプリンを食べながら母ちゃんが泣いてるのかよく分からない。
だから、どうして泣いているのか母ちゃんに聞いたら、おいおい泣きながら母ちゃんは言った。

「疲れた時には甘い物がいいて…テレビで見て、母ちゃんのために作ってくれたんだろ?」

いや、ちげーよ。私はプリンを腹いっぱい食いたくて自分のために作ったんだよ

とはさすがに言えない空気で、とりあえず頷いておいた自分。
泣く母ちゃんの後ろで、おむつをつけた妹が嬉しそうに笑っていた。

<>201名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:40:54.43ID:Ax0QvrS80<>

結果的に、9歳の妹に出し抜かれた私は、なんだか母親の泣き顔を見るのが辛くて、
そそくさと部屋へ戻った。

変な時間に昼寝を挟んだせいで、ベッドへ横になっても全然眠れない。
深夜、DVDでも見ようとリビングへ行くと、母親が勉強をしていた。

「まだ起きてたの?もう3時だよ」
と言っても、母親はノートから目を離さず、
「あんたが作ってくれたプリンでやる気全快だから、あと30時間は起きていられる」
と冗談ぽく言ってた。

母ちゃんのために作ったんじゃない、と言いかけたけど、
なんだか言ってはいけない雰囲気な気がして、結局黙って部屋へ戻った。

<>219名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:46:39.95ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんの会社には社報みたいなものがあるんだけど、
ある日母ちゃんが社報を持って帰ってきて、自分に見せてきた。

社報いっぱいの見出しは、
「課長の娘さんは世界一のパティシエ」(とかそんなだったと思う)

課長が疲れて帰ってきた時…自慢の娘さんが何と手作りプリンを作って出迎えてくれた!
母ちゃん「私は世界一幸せな母親です(笑)」

みたいな、そんな記事が書かれた社報。

「専務にちょっと自慢したら社報に乗っけてくれてさぁ」
とか言って嬉しそうにしている母ちゃんを前に、嬉しいとか恥ずかしいとか、
そんな気持ちより先に母ちゃんが 課 長 へ昇進した事が一番驚きだった。

<>231名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)05:50:05.88ID:Ax0QvrS80<>

うちの母ちゃん、ふっつーの高校卒業して、ふっつーに高卒でOL経験して、ふっつーに結婚した人。
特に秀才でもないし、特に何か飛びぬけて凄い物もっているわけでもない(と思う)

生活費の足しに始めたパートで、パートから社員へ、社員から主任へ、主任から現場責任者へ、
そして課長。

いやもう、どっかのテレビ局が取材に来てもおかしくないんじゃね?
と思うばかりのトントン出世にみえた。

<>245名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:02:44.31ID:Ax0QvrS80<>

社員数60人くらいの小さい会社だけど、それでも課長は凄いと思う。

しかしまぁ、母ちゃんの出世と引き換えに、母ちゃんの帰宅時間はどんどん遅くなっていった。
理由は簡単。ISOとかいうのを、母ちゃんが筆頭に会社で取得しようとしていたらしく、
母ちゃんは勉強に研修に、とあちこち回っていたからだ。

<>247名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:04:32.10ID:oeaBDjXX0<>
ああ、ISOは確かにめんどくせーな
あれをやる価値がいまだに見出せない

<>261名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:08:45.01ID:VsMqHMs50<>
ISO14001かな
あれは大企業的に環境に考慮してる企業(ISO認証取得企業)としか取引しないとか
世間体的な面で規制があるからな
俺も絡んだことあるけどすげー面倒だった

<>259名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:07:55.26ID:Ax0QvrS80<>

町工場なので、現場の人間はDQNか派遣かパートのおばちゃんばかり。
(工場勤務の人、偏見ある言い方すまん)

人間関係もだめだめらしく、ISO取得と同時に、そのだめだめな人間関係も修復しなくちゃ駄目だ!
と思ったらしい母ちゃんは、
自ら“24時間電話相談”とかいうのを始めて、人間関係や仕事の悩み、
果てはパートのおばちゃんの家庭の悩みや若い社員の恋愛事情まで
全部丸ごと相談に乗るわよ!みたいな活動を始めた。

<>269名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:15:08.96ID:Ax0QvrS80<>

毎日毎日遅く帰宅しては、電話で社員の悩み相談を受ける母ちゃん。

ある時なんか、パートのおばちゃんが
「旦那が浮気してるかもしれない」と泣いて電話をかけてきた時、
「今から行くから!」と夜中に家を飛び出していったし、
またある時は派遣で将来が心配…と言った男の子を、
午前休を使ってハロワへ連れて行った事もあるくらいだ。

のめりこむと凄まじいというか、周りが見えなくなる母ちゃん。
なにをやらせても、常に100パーセントを出す人だと思った。

<>275名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:18:54.40ID:Ax0QvrS80<>

相変わらずニートだった自分と、アルバイトで忙しい兄と、
ほとんど家にいる時間がなくなった母ちゃん。

自分はニートながらに、ずっと貯めてたお年玉(w)とかを切り崩して、時に兄から小遣いをもらい、
自由奔放に遊びまわっていた。

その内、家に帰るのがいやになってきて、
寮付きのキャバクラにでも勤めればもっと自由になれるとか本気で思っていた当時の自分。
ふらふら遊んでは、夜中に自宅へ戻る事が増えてきた。

<>284名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:24:10.51ID:Ax0QvrS80<>

ある日、夜中遊ぶ友人が捕まらなかったので、
久々に早い時間(といっても夕方6時くらい)に自宅へ戻った自分。
家へ戻ると妹がテレビを見ていて、
自分を見るなり嬉しそうに「おかえりなさい」と言って抱きついてきた。

相変わらずおもらしが続いているらしく、まだおむつが外せない妹。
ほこりをかぶったランドセルを見れば、やはりまだ不登校のようだった。

不登校の妹が、誰かと話す機会はなかったらしい。
私は家へ戻らないし、兄はアルバイトの合間しか家へ戻ってこない。母ちゃんも、同様。

孤独だったらしい妹は、
「お姉ちゃん、今日はもうお出かけしない?」「○○(妹)と一緒にポケモンしてくれる?」
としきりに聞いてきた。
なんかちょっと泣けてきた。

<>285名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:25:02.31ID:XjXs/jyUO<>
これ読んでるとイライラしてくる。1が糞すぎるな
同じニートからしても情けない

<>290名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:27:51.31ID:Ax0QvrS80<>

なんだか妹が不憫に思えて、
ぴったりと自分に寄り添って離れようとしない妹の頭をその日はずっと撫でていたと思う。
そんなこの日。一番衝撃だった出来事。それは妹の夕食だった。

「お姉ちゃん一緒にご飯食べよう」
と言って、妹がどこからか持ってきたのは、カロリーメイトの4本パック。
「お姉ちゃんの分もあるよ」といって、同じ4本パックのカロリーメイトの箱を自分へ手渡して、
妹は当たり前のようにそれを食べ始めた。

<>302名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:31:16.27ID:Ax0QvrS80<>

「これが夕食?」と聞いた私に、不思議そうに首をかしげて、妹は頷く。

「カロリーメイト嫌い?」
「いや、嫌いじゃないけど…」
「美味しいよ!あと、今日はお姉ちゃんと一緒だからいつもの倍は美味しい!」

あぁ、自分は、あの時の妹の顔が今でも脳裏に焼き付いて離れない。 
嬉しそうな、なんとも微笑ましい、というか。好物を前にした子供のような笑顔。
思いだすだけで、ズキズキする。

<>306名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:33:46.81ID:fLBFSjj20<>
その明るさ。
確実に妹は母ちゃんの子。

<>310名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:34:24.38ID:PzT6JMCJO<>
306
姉は…

<>317名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:37:25.60ID:fLBFSjj20<>
310
確実に父ちゃん系。

<>308名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:34:10.22ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんが忙しくなって、いい加減家事に手が回らなくなったらしい。
朝食はまだしも、夕食を作る事は不可能だったらしく。
ある日の夕食にコーンフレークを出された妹は、
「あぁ、お母さん忙しくて大変なんだな」と思ったとの事。
それから、「もう9歳なんだから、自分でご飯買いにいける」と駄々をこねて、
母ちゃんからお金をもらったといっていた。

母ちゃんからもらったお金で買ったのが、カロリーメイトだったって訳だ。

<>318名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:38:37.03ID:Ax0QvrS80<>

それでもやはり、お金だけを妹に渡すのが心配だった母ちゃんは、
ちょくちょく仕事の合間に妹へ電話を入れたり、
ほんの少しの時間を見つけては家へ戻ってきて夕食作りをしていたようだったが、
最終的に妹はそれすらも拒否したと言っていた。

「学校へ行けない分、お母さんにこれ以上迷惑はかけたくない」とか言って、
隣の家のおばちゃんが夕食を作ってくれた、とか、
卵焼きを自分でやいて食べたから今日は帰ってこなくていいとか、そんな嘘を母ちゃんについて、
「心配いらないから、お仕事がんばってね」、と言い続けていたらしい。

それでもやはり、その事実は辛かったようで、めそめそしながら、妹は私にこの話をしてくれた。

<>321名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:40:03.73ID:oeaBDjXX0<>
妹健気すぎる・・・・・

<>326名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:41:08.75ID:3XUFCAj1O<>
それなのに1ときたら…

<>328名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:42:08.14ID:Ax0QvrS80<>

私は、それでも真面目に働こうとは思わなかった。
働こうとは思わなかったし、じゃあ私が母ちゃんの代わりをしようとも思わなかった。
悪いな、これはドラマでも何でもないので、美談はないのだよ。

だけど、美談はないけど。それでも、これだけは思った。

妹の夕食がカロリーメイト。
これはさすがにやばい。

次の日私は本屋へ行って、調理本を買ってきた。
この本は今でも持ってる。「簡単おべんとレシピ」って本だ。

<>339名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:44:53.89ID:Ax0QvrS80<>

朝は苦手なので、朝食は作らない。これは母ちゃんに任せた。
昼飯も母ちゃんに任せた。
自分がちょっとだけ頑張るのは、夜だけ。

本片手に、最初は簡単なカレーから。
カレーは失敗がないからね、初めて作ったカレーを食べて、
妹は「カロリーメイトより美味しい」と何度もおかわりしてくれた。
それが単純に嬉しかった。なんか、ちょっと人の役にたててる気がしてね。

<>350名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:49:47.58ID:Ax0QvrS80<>

おべんとレシピの良い所は、あくまでもお弁当用レシピって所だ。
お弁当用レシピ=あんま手間がかからない

つまり、だらだらしたニートな自分でも、ちょっとがんばれば作れるって所。

妹の夕食を作って、妹が寝るまで一緒にテレビを見るか、ゲームをする。
妹が寝てから遊びに行く。遊び癖が抜けなかったんだな。

でも、私が家を出ていく度、妹が起きてしまう。
「お姉ちゃんどこ行くの?」と泣いて、おもらしをしてしまう。

その度、出かける時間を遅らせて、妹を寝かしつける。その繰り返し。
妹は可愛いけど、当時は遊びを邪魔されて正直鬱陶しいという気持ちの方が強かった。

<>359名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:54:05.82ID:Ax0QvrS80<>

子供は凄い。まぁ、当時は自分も子供だったが(16歳とかだしな)、
それでも、何も分かっていないだろうと思っていた妹の、
人を見る目は半端ないと思った出来事がある。
夕方起きだして、夕食の支度をしようと思ったら、妹がいなかった。
部屋中探してもいなくて、代わりに、妹のおむつがいくつもなくなっていた。
あと、買いだめしたカロリーメイトもなくなってる。
お気に入りのポケモンのぬいぐるみもないし、洋服もない。

びっくりして、妹の部屋へ入ると「かぞくへ」みたいな文章から始まる手紙があった。

<>370名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)06:57:57.08ID:Ax0QvrS80<>

手紙の内容はよく覚えてない。気が動転してたし、
とにかくすぐ母ちゃんと兄に連絡しなきゃ、って事で頭がいっぱいだったから。

覚えてる限りの内容は、「○○(妹)がいなくなれば、お姉ちゃんはたくさん遊べます」みたいな。

夜泣き(?)を繰り返す妹を鬱陶しいと内心思っていた自分の気持ちを、
妹は見事に見透かしていたらしい。

母ちゃんに連絡してすぐ、兄と、母ちゃんが示し合わせたように家へ帰ってきた。
兄と私は顔を真っ青にしてたが、
母ちゃんは「家出は思春期の勲章だ」とか言って、「大丈夫大丈夫」とか言ってた。
言ってたけど、声がぶるぶる震えてたのを覚えている。

<>379名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:02:22.49ID:Ax0QvrS80<>

当時を振り返る度、母ちゃんはこの妹家出事件が、何より辛かったという。
オヤジが借金した時より辛かったといってた。

働かなきゃ食べていけない。会社を大きくしたい。でも家族も大事にしたい。だって片親だし。
兄を進学させてやりたい。私を社会復帰させたくて、社会人の手本になりたい。
でも母親として、妹にずっと付き添ってやりたい。
あぁでも、働かなきゃ生活が出来ない。もっともっと出世したい。

そんな思いで、自責の念と、後悔とでぐちゃぐちゃだったようだ。

父親役母親役、二役こなす母ちゃんだからこその本音だったのかもしれない。

<>395名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:05:54.78ID:Ax0QvrS80<>

警察に連絡しようか、と兄が言った時、
「おおごとになれば、○○(妹)が帰りづらくなる」と言って、母ちゃんは一人探しに出かけた。

兄と私はいつ妹が帰ってきてもいいように、自宅で待機。
兄は探しにいきたいと言っていたが、
母ちゃんが「これは母ちゃんの仕事だから」、と兄を静止してた。

数時間たたない内に、妹と母ちゃんは帰ってきた。
小さい体を縮こめて、体に不釣り合いな大きなリュックを背負った妹を見て、発作的に泣いた。
安心というか、「何してんだよ」っていう、なんか、怒りに近い涙だったよ。

<>410名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:09:18.30ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんは、この時、妹がどこにいたとか、どうやって連れ戻したとか、
そんな話は何もしてくれなかった。

あとから妹が話してくれたけど、妹は、前の自宅へいたらしい。
もう父親も引っ越していて、放置状態の家に一人いて、
カロリーメイトを食べて時間を過ごしていたんだと。

母ちゃんはこの事で凄く自分を責めたらしいけど、
それでも、真っ先に妹がどこにいるか分かった母ちゃんは、やっぱり母親なんだなぁと思う。

<>427名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:14:11.52ID:Ax0QvrS80<>

その日から、兄はアルバイトを減らしてなるべく家にいるようになった。
収入は減ったらしいが、
代わりに母ちゃんが「もっと出世すればいいんでしょ?」とかいって更に勉強を始めてた。
でも、なるべく家で勉強するようになって、少しでも妹のそばにいるようにしていたみたいだった。

私は相変わらずニートで、唯一の仕事は、家族の夕食を作る事。
それでも、美味しい、と兄や母ちゃん。そして妹がそう言ってくれる度に、凄く幸せで、嬉しくなった。

<>441名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:19:10.44ID:Ax0QvrS80<>

妹の不登校が半年ほど続いた日、合唱祭のお知らせプリントが届いた。
妹は昔から歌う事が大好きで、
それを知っている担任が、合唱祭をきっかけに登校出来るように、と気にかけてくれての事だった。

母ちゃんは、「行きたくなきゃ行かなければいい」と言った。
兄は、「ちゃんと学校行かなきゃ、1みたいになるぞ」と冗談めかしに言った。
私は、何も言わなかった。

妹は今更行けない、との一点ばりで、「行きなさい」という兄の前でじっと黙っていた。

<>457名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:23:42.01ID:Ax0QvrS80<>

ある日母ちゃんが風呂上がりに突然歌い始めた。
何かと思ったら、会社で合唱部を立ち上げたと言ってた。
妹意識なのは丸わかりだけど、
幼い妹は、家で一人合唱の練習をする母ちゃんを見て、目をきらきらさせてた。
やっぱり歌が好きらしい。

母ちゃんが妹に、「一緒に歌う?」と聞くと、
妹は頭をぶんぶん振って頷き、母ちゃんと一緒に歌ってた。
曲はシラネ
なんか、ふんふんふーん、みたいな曲

<>473名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:28:33.72ID:Ax0QvrS80<>

妹は歌がうまい訳じゃない。
ただ、歌うのは好きなんだろうなぁと、そう伝わってくるようだった。

母ちゃんは、妹が歌う度に松村邦弘ばりに手を叩いて、妹を褒めた。
「すっごおおおおおおおおおおおおおおおい」
「いやぁーーーうちの歌姫だね」
「TKプロデュースでデビュー出来るんじゃない?」

小室哲也を知らない妹は首をかしげていたけど、それでも母ちゃんに褒められて嬉しそうだった。

こんなに上手なら、もっともっと多くの人に聞いてもらえたらいいなぁ、と母ちゃんが言って、
自慢の娘をもっと自慢したいと言った。

それを聞いて、妹は泣きだした。
「学校いかないから、いい子じゃない」
「○○(妹)は自慢できる子じゃない」

<>488名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:32:38.94ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんの凄い所は、子供の良さを最大限に引き出すことだと思う。
母ちゃんは決して、子供の人格を否定しない。

この時だってそうだった。

「生きてご飯食べてうんこしてくれていれば、それだけで自慢出来るよ」

あ、何か文字に起こすと何でもない言葉なんだけど、
その時の母ちゃんは凄い説得力があるというか、素直に、

「あぁ、そうなんだぁ」

って思える言葉を使っていたと思う。

だって現に、それを聞いて妹はすぐ泣きやんで、しっかり頷いていたし、
学校に行ったらもっと自慢になる?と聞いてた。

「行っても行かなくてもどっちでもいいよ」
と母ちゃんは言って、そこまで見届けてから、自分はまた遊びに出かけた。

<>494名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:34:57.20ID:GnlNpR8AO<>
488
相変わらずクズだなww

<>503名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:37:22.64ID:Ax0QvrS80<>

翌日の朝、妹がランドセルを背負っていた。

朝兄にたたき起こされて、何だと思ったら、
黄色い帽子に赤いランドセルを背負った妹が、名札を探してた。

学校へ行くの?と聞いたら、小学生はみんな学校行くでしょと普通に返されて、びっくりした。

玄関前で何度かえずいていた妹。
母ちゃんに「無理しなくてもいい」と言われたのに、
「絶対大丈夫」といって、9歳の小さい妹は、見事にマンションの通学班へ混じりにいった。

<>517名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:40:55.79ID:Ax0QvrS80<>

子供は凄い、と思った。

兄と母ちゃんと私で、通学班の班長さんに「よろしくお願いします」と言ったんだけど、
何の疑いもなく、というか、何の違和感もなく、突然混ざった妹とみんなで仲良く話し始めたからね。

これ、高学年だらけの班だったらまた変わってただろうけど、
低学年の多い通学班だったから、それが良かったのかもしれない。

妹を見送った母ちゃんは目をうるうるさせて、仕事へ行き。兄もバイトへ出かける。
今まで妹と二人だった家で突然一人になり、なんだか物悲しさを感じた。

<>502名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:37:11.45ID:gg0WrFqzO<>
だからどこへ遊びに行ってんだよw

<>528名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:44:15.70ID:Ax0QvrS80<>

どこへ遊びに行ってるって、別にどこか特別な場所とかじゃなくて、普通だよ。
中学時代の先輩の家とか。
特に面白い事なんもないよ。普通にDQNな感じを想像そてくれればいい。

私は何をしてるんだろう、と思った。
なんか、妹が更生…といったら変だけど、あんなに小さいのに頑張って不登校を克服してるのに、
私はいまだにニートだし。
楽しみなんてないし、兄に小遣いせびって遊ぶ日々。
屑人生だな、と。この時初めて実感して泣いたんだよ。

<>531名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:47:05.02ID:Ax0QvrS80<>

オヤジに似てる、とこのスレの誰かも言ってたけど、間違いなくそうだな。
妹と兄は母ちゃん似。私はオヤジ似。

家出しなきゃいけないのは妹じゃなくて私だったんだなーと思って、なんか無償に悲しくなった。
悲しくなったらお腹すいたので、飯を買いに出かけた。

今朝は妹を送り出して母ちゃんがご飯作る時間なかったからな。

<>535名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:49:01.82ID:bUZ00MpuO<>
531
ようクソムシ!

<>536名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:49:31.31ID:PzT6JMCJO<>
悲しくなったらお腹すいたって、馬鹿っぽくていいなwwww

<>537名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:50:37.58ID:Ax0QvrS80<>

近所の某ドラ○もんがキャラクターの寿司屋さんに行ったら、当然だけどみんな働いてた。
レジ売ったり、寿司握ったりしてた。
なんか恥ずかしくなったから、寿司買わずに店を出た。

次いでスーパーに出かけたら、やっぱりみんな働いてた。
ここでも恥ずかしくなった。

ぶらぶら歩いてたら、母ちゃんの会社(てか工場)の近くまで来た。
時計みたらもうすぐ母ちゃんの休憩時間だったから、
ついでに一緒にご飯食べようと思って会社を覗いた。

母ちゃんも働いてた。当然だけどさ。

<>542名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:53:29.47ID:Ax0QvrS80<>

工場と隣接するように事務室があるんだけど、20人くらいの人がばたばた働いてて、
なんか場違いな気がした。
いや、場違いなのは間違いないが。

自分を見つけた母ちゃんは驚いた顔をして、
「ここは会社だから勝手に入ってくるな」と静かに自分を咎めた。
また恥ずかしくなった。

もうすぐ休憩だから一緒にご飯食べようと言ったら、
母ちゃんは「美味しいラーメンおごってあげる」と言ってくれた。
会社の近くに、美味しいラーメン屋があるらしい。

<>552名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)07:55:37.05ID:Ax0QvrS80<>

事務室の外で母ちゃんの休憩を待っていたら、12時少し回った所で母ちゃんが出てきた。
母ちゃんが出てきたと同時に、たくさんの人が出てきた。
その人達はみんな、母ちゃん目当てだとすぐ分かった。

こぞって母ちゃんに話しかけるみんな。
ご飯に母ちゃんを誘うみんな。
自分の母ちゃんなのに、何だか盗られた気になって腹がたった。

<>565名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:00:15.48ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんは、みんなに自分を紹介してくれた。
「自慢の娘でーす」とか言って、「うちのコックさん」と紹介してくれた。

どうやら母ちゃんは、私が夕食を作っている事をまた社報で書いたらしく、
みんなは「あぁ、あの子ですか」とすぐ分かったようだった。

「1の作る料理は世界一なのよ」
そう口火を切って母ちゃんは私を同僚に見せびらかすように褒めちぎり始めた。

中には親ばかぶりに呆れた顔をしてた人もいたし、
なんかこの時は、褒められて嬉しいというよりも「恥ずかしい」の意識の方が特に強かった。

<>571名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:02:54.81ID:Ax0QvrS80<>

ラーメン屋でも、やっぱりみんな働いてて、私は小さく小さくなりながらラーメンを食べた。
ラーメン屋の隅にアルバイト募集のチラシが貼ってあって、自給が750円と書いてあった。

その日私が食べたチャーシューメンと同じ金額。
私が黙って食べたこのチャーシューメンは、
このお店で一時間働かなきゃ食べられない物なんだと、
そんな当たり前の事を改めて痛感した。

<>583名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:06:49.23ID:Ax0QvrS80<>

その日帰ってから、母ちゃんに話した。
今日は一日何だか恥ずかしかった。妹は頑張ってるのに、私は何してるんだろうと思った。
外に出て改めて周兄りをみたら、みんな働いてた。それが恥ずかしかった。
支離滅裂な言葉をつらつら並べる私に、
勉強しなきゃいけないであろう母ちゃんなのに、じっと黙って話を聞いてくれた。
その日妹は、合唱祭の楽譜を持ち帰ってきて、楽しそうに練習していた。

私は、もう消えてしまいたいと思った。
働けよ、と今なら思う。だけど、じゃあ働こうって思考がなかったんんだよね、当時。

<>594名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:11:29.13ID:Ax0QvrS80<>

目標がない、と言った自分に、母ちゃんは少し悩んで、じゃあ今何が一番したい?と聞いた。
ちょっと考えて、「恥ずかしくない毎日がほしい」と、思った事をそのまま言った。

そしたら母ちゃんは、じゃあまず、家の事から始めようと言って、こんな提案をしてくれた。

夕食だけ作ってた今だけど、昼食も作ってみる。昼食作りに慣れたら、朝食も作ってみる。

「そんな事、普通じゃん。別に偉くもなんともないし、
それで恥ずかしくない毎日が送れるとは思えない」
と言ったら、母ちゃんは怒った顔をした。

やろうと思った事をやりとげる、それが自信につながっていくんだから、結果立派なんだ。
昼食作りが普通?じゃあアンタは何でその普通が出来ないの?

あぁ、もっともだと思った。

<>599名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:13:45.38ID:Ax0QvrS80<>

自分で普通だと思ってる事が出来ない。出来ないんじゃなくて、やらないだけ。
やらないから、自信がなくなってく。
でも、普通だ、という意識があるのであれば、絶対出来るはず。
自信を取り戻すためにもやってみろ、とか。
なんかそんな事を言ってたと思う。

とりあえず、母ちゃんの勉強の邪魔しちゃいけないし、
そこで「分かった」と言って、部屋に戻った。

その日は、なんか遊びにいく気分じゃなくて、ずっと部屋でごろごろしてたと思う。

<>604名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:16:23.82ID:Ax0QvrS80<>

次の日から、昼食を作ってみた。
自分一人だからごく簡単な物だったと思うけど、(何作ったか覚えてない)でも、作ってみた。
あぁ、出来た。と思った。

帰ってきた母ちゃんに、昼飯作ってみた、と言ったら、
呼吸困難に陥るくらいめちゃくちゃに抱きしめられた。
たかが昼食を作っただけなのに、大げさな、と思ったけど、単純に嬉しかったと思う。

<>608名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:21:08.53ID:Ax0QvrS80<>

兄と妹にも褒められた。
「やれば出来るじゃん!」
「お姉ちゃんすごーい」
とかいって、ぱちぱち手を叩かれたと思う。

何だか気分が良くなったので、明日も作ろうと思った。

昼食を自分で作り始めて数週間。
妹の合唱祭の日が近づいてきたので、弁当を作ってやろうと思った。
その頃は朝起きれたら朝食も作るようになってたし、ついでだからと思って。

「お姉ちゃんがお弁当作ってあげるよ」
と言ったら、妹は100点の笑顔で、おかずのリクエストをくれた。

からあげが食べたいと言われたが、実は揚げ物が苦手だった私は、
妹のリクエストのために毎晩ひそかに練習をしていた。
練習したからあげを食べる役目は兄だった。
毎晩毎晩からあげを与えたせいで、この時ばかりは兄の体重が3キロ増えたらしい。

<>614名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)08:24:05.10ID:Ax0QvrS80<>

合唱祭当日、朝6時に起きようと思ったが、
何だか興奮して眠れなかったので結局4時に起きて弁当を作り始めた。

朝6時。ばっちりからあげも美味しそうに揚がり、ちゃんとりんごもうさぎに出来た私は、
なんか緊張して、リビングで弁当を前に正座してみんなが起きるのを待った。

弁当と一緒に正座してる私を見て、母ちゃんは「何してんの?」と笑ってたけど、
なんか、ひとつの作品を作り終えた芸術家みたいな気分で、誇らしかった。

<>868名前:1:2009/04/16(木)17:02:39.84ID:Ax0QvrS80<>

妹に弁当を渡したら嬉しそうに笑ってくれた。なんか、私も嬉しくなった。
宝物みたいに弁当箱かかえて出かけた妹を見送ってから、やたらエネルギーがわいたと思う。

よし!自分はやれる!みたいな感じ。

自信がつくってこういう事をいうんだろうと思った。

<>881名前:1:2009/04/16(木)17:05:30.77ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんがずっと取ろうとしてたISOとかいうのは、とにかくとるのが大変らしい。
よく分かってなかったので母ちゃんに聞いたら、
中小企業がこれを取得すると色々お得なんだと母ちゃんが言ってた。
ポイントカードみたいなもん?と聞いたら大笑いしながら「そうそう」と言ってたので、
今でもISO=ポイントカードだと認識してる。

<>891名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)17:09:43.06ID:T4HxQUZ6O<>
色々お得=ポイントカードですね。わかります

<>888名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)17:07:49.90ID:PjztfR8k0<>
881
全然違うだろwwwwwwwwwwwwwwwwww

取得するのはすごく大変らしいな

<>887名前:1:2009/04/16(木)17:07:35.30ID:Ax0QvrS80<>

山のような資料と、研修の毎日。でも家事もこなす。
この頃になってやっと、母ちゃんの体が心配になってきた。
だって明らかにガリガリだし、いつ見てもリビングで勉強してるし、でも寝坊なんかした事ないし。
もしかしたら24時間寝てないのかもしれないと本気で思った。

<>892名前:1:2009/04/16(木)17:10:25.46ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんは絶対に弱音を吐かないし、いつだって元気な母ちゃんてイメージしかない。
今でもそうだけど。
だけど一度、母ちゃんが泣いてるのを見たことがある。
夜中に、オヤジの写真見ながらめそめそ泣いてた。
母ちゃんはオヤジが大好きだったからな、離婚してからも、週に一度はオヤジに電話してたし、
飯とか作って届けてたみたいだった。

オヤジは家から数十分のアパートへ引っ越してたんだけど、
実はそのアパートへの引っ越し代も母ちゃんが全部出したらしい。
オヤジは身寄りがいないから、母ちゃんは放っておけなかったんだと思う。

<>895名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)17:12:02.05ID:u0oBVoviO<>
オヤジは何をしてるんだ

<>896名前:1:2009/04/16(木)17:13:32.02ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんは今でも、世界で一番オヤジが好きだ!という。

借金してたのに、家族を壊したのはオヤジなのに、と言ったら、離婚してたってなんだって、
両親が仲良しなのは子供にとって一番の幸せなんだと母ちゃんは言ってた。

でも893が危ないから今だけ離れて暮らしてるだけで、今でもオヤジは最愛の夫だと言ってた。
母ちゃんは強いなぁと思ったけど、夜中に一人で泣いてる姿を見て、
母ちゃんはそこまで強い人間じゃないんだなと当たり前の事を改めて実感した。

<>897名前:1:2009/04/16(木)17:16:40.51ID:Ax0QvrS80<>

だからその日、母ちゃんの弁当を作ってあげた。

母ちゃんは目ん玉飛び出しそうになりながら喜んでくれて、弁当の写真を何枚も撮ってた。
恥ずかしい人だ。
母ちゃんに弁当を持たせると、母ちゃんの腕が木の棒みたいになっててびっくりした。

「ちゃんと寝てる?」
と聞いたら、「寝るよりも出世したい」と言った母ちゃん。

「母ちゃん、ISO取れたら昇進出来るんだ」といって、
疲れよりも先に目の前に見える昇進という光に対する楽しみの方が上だといってた。

<>901名前:1:2009/04/16(木)17:20:07.65ID:Ax0QvrS80<>

課長の次は何になるんだろうと思って兄に聞いたら、「部長になるんだろ」と言ってた。
母ちゃんついに部長かよ…と思って、単純に凄いなぁと思ったけど、
それりもあの棒っきれのような腕が気になった。

その日は風が強かったのか強くなかったのかぶっちゃけ覚えてないけど、
でもなんか、
ふと頭に風でびゅーーーーんと母ちゃんが飛ばされちゃうイメージが浮かんで怖くなった。
こりゃやばいなと思って、なるべく母ちゃんはベランダには出しちゃいけないとも思った。
なので、その日の洗濯物を始めて取り込んでみた。
取り込んだついでに畳んでみた。
そんで夕飯を作ったら、あっという間に時間が過ぎていた。
家事は大変だと思った。

<>905名前:1:2009/04/16(木)17:22:43.37ID:Ax0QvrS80<>

夕食ついでに母ちゃんにプリンを作ってみた。
太らせようと思った。風で飛ばされないように、もっと太らせたいと思ったから、夕食も揚げ物にした。

帰ってきた母ちゃんに、
「洗濯物取り込んであるし、冷蔵庫にプリン入ってるよ」と言ったら、
子供みたいに万歳して喜んでいた。

その日もめちゃくちゃ褒めてもらった。
というか私、母ちゃんに褒められた記憶しかないな。

<>911名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)17:25:29.45ID:nyxuxqlTO<>
1が覚醒していくな

<>914名前:1:2009/04/16(木)17:25:59.27ID:Ax0QvrS80<>

ある日母ちゃんに、何でそこまで頑張るの?と聞いたら、
母ちゃんは「あんたも子供を産めばわかるよ」とだけ言ってた。

例えばそこに水があって、ここは砂漠で、この水を飲まなきゃ死んでしまう。でも水はひとつしかない。そんな時、母ちゃんという生き物は迷わず子供へその水を差しだすんだと。

男脳、女脳とかあるけど、母ちゃん脳という物があるんだろうなと思う。

母ちゃんは男でも女でもなく、母ちゃん、という生き物だと思うんだ。

<>918名前:1:2009/04/16(木)17:28:40.99ID:Ax0QvrS80<>

「今日は1が家事をしてくれたから大助かりだった」
「母ちゃん今日は世界一幸せかも」

たかが洗濯と飯作っただけなのに、母ちゃんは100万もらったように喜んでた。
家事をすれば母ちゃんは喜ぶんんだなと思った私は、次の日も同じ事をした。
今度は風呂も沸かしてみた。
そんで次は部屋の掃除もしてみた。

ニートから、家事手伝いに昇格した、と思いたい。

<>929名前:1:2009/04/16(木)17:32:23.77ID:Ax0QvrS80<>

ある日母ちゃんに年収を聞いたら、ナイショと言ってたけど、
実は兄からの支援を断ってる現場を見てしまった私は、もう兄からの援助がなくても
家賃13万の家で生活できるだけの生活費を稼げているんだろうと思った。

それもそのはずだ。
母ちゃんがめちゃくちゃ高給取りになったわけじゃなくて、母ちゃんは自分の物なんか一切買わない。
子供にはお金は使うけど、自分には一切使わない。
たくさん貯金をして、子供3人分の預金も作ってるみたいだった。

私は、私名義の預金があるならちょうだいよ、と思ってた。

<>933名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)17:34:21.39ID:7HdW3eXs0<>
ダメだと思わせたりかわいいと思わせたりやればできると思わせたりダメだと思わせたり忙しいな

<>943名前:1:2009/04/16(木)17:36:44.41ID:Ax0QvrS80<>

兄から小遣いもせびり辛くなってたし、母ちゃんからはなんかお金もらいにくい。
とにかくお金がなくて、一瞬悪い事を考えたりもした。
悪い事しようかなと思う度、母ちゃんの顔が浮かんで出来なかったけど。
働けばいいんだけど、その頃にんあると外の世界が怖くて嫌だった。

だって中卒だし、何の取り柄もないし、昼夜逆転生活だし。
身分証明書もないし、年齢的に夜の仕事も出来ない。
なんか意味もなく死のうかな、とか思ってた。

<>950名前:1:2009/04/16(木)17:39:24.03ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんにそれをボヤいたら、母ちゃんは求人誌を山ほど買ってきてくれた。
ぶっちゃけ、求人誌の見方が分からなくて、読む気なんかなかったけど、
研修用の資料を片手に自分の職探しのように
「この職場は自給がいくらで、この待遇っていうのはこういう意味で〜」
とひたすら教えてくれる母ちゃんを前に、
「もういいやめんどくさいし」という本音を言う事は出来なかった。

<>960名前:1:2009/04/16(木)17:44:18.02ID:Ax0QvrS80<>

しかし母ちゃんというのはエスパーな生き物で、私が求人誌に興味なしな事を察すると、
すぐに求人誌をしまった。
「よし!母ちゃんが仕事あげる!!」と言って、ご機嫌にどこかへ電話をかけていた。

その日の夜に、母ちゃんのISO取得が上手くいかなかった事を知った。

駄目ならまた次ってわけにもいかないみたいで、なんか年に数回しかないらしい。
次、はめちゃくちゃ遠いんだと言ってた。

あれだけ勉強してても駄目なんて、ISOはずいぶん手ごわいらしい。

<>966名前:1:2009/04/16(木)17:47:39.86ID:Ax0QvrS80<>

でも母ちゃんは全然へこんだ様子じゃなかった。
「そりゃショックだけど、仕方ないじゃん」みたいな。
逆に次までの時間が長いからもっともっと勉強できる!とかいって、うきうきしてたし。

妹は母ちゃんの頭をよしよし撫でてた。
母ちゃんは泣きまねをしていた。
「よし!また頑張ろう!」といって、また勉強を始めた。
母ちゃんのエネルギーはどこから出てるんだろうと思った。

<>975名前:1:2009/04/16(木)17:50:56.19ID:Ax0QvrS80<>

それからまたしばらくして、母ちゃんは私に「バザーのお知らせ」みたいなのをよこしてきた。
これで物を売れば金になるよ!と言ってた。

母ちゃんがくれると言ってた仕事はこれだったらしい。

だけど、ニートに売れるような代物はない。
何を売るの?と聞いたら、「あんたお菓子得意なんだからお菓子売りなよ」と言った。

バザーで素人が作ったお菓子なんか売れねーよと思ったけど、
母ちゃんがやたら張り切っているのでとりあえず生返事だけを返しておいた。

<>983名前:1:2009/04/16(木)17:53:50.24ID:Ax0QvrS80<>

バザーのお知らせを見て、
びっくりしたのがバザー主催会場は母ちゃんの会社の工場敷地内だった事。
当然、主催も母ちゃんの会社だ。
母ちゃんの会社、社内バザーなんかやってたっけ?と思ってすぐに聞いたら、
「今年からやる事になった」と言ってた。

多分、私のために企画してくれたんだと思う。

娘のために会社巻き込んでバザーを開いちゃう母ちゃんなんか、
世界中で私の母ちゃんとあと数人くらいしかいないと思う。
うちの母ちゃんだけ、とは敢えて言わない。

<>989名前:1:2009/04/16(木)17:57:59.00ID:Ax0QvrS80<>

企業主催だから、素人の料理だっておいても安心でしょ!とかいう訳分からない母ちゃんの持論。
保健所とか、色々大丈夫なんだろうかと思ったけど、簡単な市の許可さえあれば大丈夫らしい。

「社報にもあんたのお菓子は美味しいって書きまくってるから、絶対繁盛するわよ」
といって、私よりも楽しそうな母ちゃん。

最悪売れ残ったら母ちゃんが全部買いとってあげると言ってくれて、100円でも稼げればマシか、
どうせ材料費は兄のお金から出すしな、と思った私は、バザーに出る事をおKした。

<>129名前:1:2009/04/16(木)20:20:00.76ID:Ax0QvrS80<>

まぁ、そんなこんなで母ちゃんが企画してくれたバザーなんだけどさ。
素人が食品なんか売っていいのか?と思ったけど、
市でちょっと許可もらえばいいらしい。
どうせ兄から材料費せびるつもりだったし、私に損はないのでやってみようと思った。

<>130名前:1:2009/04/16(木)20:21:41.82ID:Ax0QvrS80<>

兄に、「はじめて自分でお金を稼いでみたい」と言ったら、兄は涙ぐみながら1万円くれた。
お釣りはいらないと言って、あたらしいエプロンも買っていいよと言って更に5000円くれた。

材料なんか全部100均で買うつもりだったから、
これだけで1万円以上は浮くなと思って私はうきうきした。

<>131名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:21:58.79ID:rfCWYJdpO<>
相変わらずのクズっぷりだな

<>138名前:1:2009/04/16(木)20:25:06.85ID:Ax0QvrS80<>

プリンは生もの過ぎてさすがに怖かったので、無難にクッキーを作ろうと思った。
クッキーなら簡単だし、腹壊される心配もないしね。
あと、市からの要請で何度以上の熱が通った物しか売っちゃいけないっていう規制もあったから。

クッキー作りは楽しかった。

母ちゃんは、またISOの勉強をしながら毎晩クッキーを作ってる私を、やたら嬉しそうに見てた。
5枚入ったクッキーを、ひとつ100円で売ろうと思ってた私は、
50個売ったら5000円の儲けになると思って、
お金を稼ぐのなんか簡単じゃんと思った。

<>141名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:26:22.33ID:VnjL2TYoO<>
1は倹約家だなwwwいや、違うかwww

<>145名前:1:2009/04/16(木)20:29:03.82ID:Ax0QvrS80<>

バザー当日、朝起きたら、母ちゃんが私にネコの絵がついたエプロンをくれた。
妹が家庭実習で作ったやつだといってた。
「お姉ちゃんはお料理するからエプロンをあげたい」
といって、リュックサックかエプロンかどっちかを作らなきゃいけない家庭実習で、
妹はエプロンを選択したらしい。
ずいぶん前に出来あがってたらしいが、
バザー当日に母ちゃんから渡してほしいと妹から言われていたらしい。

可愛い妹のエプロンは嬉しかったけど、それよりも早く5000円稼ぎたい気持ちでいっぱいで、
なぁなぁに妹へお礼を言ったと思う。

<>150名前:1:2009/04/16(木)20:32:48.17ID:Ax0QvrS80<>

母ちゃんと一緒にバザー会場、母ちゃんの勤務先へ行く間。
母ちゃんは「そのクッキーいくらで売るの?」と聞かれた。
「5枚で100円」と答えたら、母ちゃんが大笑いしながら「100円は高いなぁ」と言った。

「じゃあいくらならいい?」
「10円ならいいんじゃない?」

10円?何言ってんの?馬鹿じゃない?
材料費だけで赤字じゃん、と思って、この時の母ちゃんの言葉は無視した。

だって、5枚入りを50個しか持ってきてないのに。
10円なんかで売ったら、全部売っても500円にしかならない。
500円なんか、兄の貯金箱からくすねればいつでも手に入る金額だ。

<>160名前:1:2009/04/16(木)20:35:39.70ID:Ax0QvrS80<>

結局、母ちゃんの忠告を無視して「5枚入り100円」と書いた段ボールの看板を出した私。
所詮は地元企業のバザーといった所で、
来る人来る人ほとんど社員とか、パートのおばちゃんばっかり。
外部からのお客さんはほとんどいないように見えた。

<>165名前:1:2009/04/16(木)20:39:17.27ID:Ax0QvrS80<>

一応、会社で熱い人望があるらしい母ちゃんの娘。
クッキーを棚に並べていたら、ぞろぞろおばちゃん達がやってきた。
ばんばん売れていくクッキー。
ほら、やっぱり5枚で100円でも問題なかったじゃん、と思いながら、
大した愛想もふりまかず、100円もらったら袋を渡す、という作業を延々繰り返した。
確か10個くらい売れた所で、小さい女の子が来た。
花の形に抜いてあるクッキーを見て、ほしそうにしてた。

「100円だよ」と言ったら、女の子はきょろきょろ周りを見渡し始めた。
多分、母親を探してるんだろうと思った。

<>168名前:1:2009/04/16(木)20:42:33.27ID:Ax0QvrS80<>

きっと、パートのおばちゃんの子供だろう。
年は妹よりも下だな、と。
色々考えてたら、女の子はぶるぶるドックの絵柄がついた財布を取り出して、中を覗き込み始めた。

たぶん100円がなかったんだろう、と瞬時に分かった。
だって、ずっしり首を落として、分かりやすくうなだれていたから。
なんか、その姿が妹と重なって見えた。

あの日、家出をして、大きなリュックを背負って帰ってきた妹にちょっと似てると思った。

<>169名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:44:25.51ID:fDWcFGIc0<>
168
すまんここまで読んで涙でモニタが見えない。

<>172名前:1:2009/04/16(木)20:46:29.12ID:Ax0QvrS80<>
「いくらならあるの?」

無愛想に聞いたら、女の子は財布ごと私へ手渡してきた。
中を見たら、500円玉がひとつと、10円が数枚入ってたと思う。

なんだ500円持ってるじゃんと思って、500円玉を拾い上げて
「これもらって、400円お釣り返すから」と言ったら、女の子は「それは駄目だ」と言った。

「なんで?」
「誕生日に、お母さんへハンカチを買ってあげるお金だから」

こづかいを貯めて、母親にハンカチをプレゼントしようとしてるらしい女の子。
可愛いなぁと思いながら、それでも、100円は100円。
こっちは5000円のために今日まできた訳だし、子供相手でも値切る事は出来ない。

<>174名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:47:32.24ID:8cSoFUHh0<>
期待を裏切らないクズで安心した

<>178名前:1:2009/04/16(木)20:49:12.81ID:Ax0QvrS80<>

「じゃあ買えないね、ばいばい」
と言ったら、女の子はまたしょんぼりと肩を落とした。

だって、食べたいと思った惣菜があって、その惣菜は300円で、でも自分の手持ちは200円。
どうやったって買えないじゃん。

「っでも食べたい!」って思ったら、盗む事になるじゃん。

とか、そんな事を本気で考えてた私は、買わないだろう女の子を手で追い払って、
「欲しけりゃ100円持ってきな」と言った。

<>181名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:50:08.57ID:rJbpzsV80<>
ひでえwwwwww

<>183名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:50:26.21ID:nyxuxqlTO<>
うわぁ…

<>187名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:51:46.88ID:+nDXt+QQ0<>
愛すべきクズは真のクズにwww

<>192名前:1:2009/04/16(木)20:53:05.53ID:Ax0QvrS80<>

泣きだしそうな女の子は、しょんぼりしたまま私のそばを離れて、また母親を探しているようだった。
可哀想とは微塵も思わなかった。

結局、50個のクッキーはあっという間に完売。いや、正確には49個完売。
ひとつ落としてしまって割れちゃったから、これは妹の土産にするか、と思ってあきらめた。
ラッピングに土ついてたし。
今日私は、4900円稼いだ。兄からもらったお金を合わせると、多分2万円くらいはある。
これでまた当分ニートが出来ると思って安心した私は、うきうきしながら店じまいした。

<>194名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/16(木)20:53:22.43ID:Myjk4XE2O<>
これは酷いwwwwwwwwwwww

これは酷い……

<>303名前:1:2009/04/16(木)22:19:32.64ID:Ax0QvrS80<>

バザーの終了を待たずにして、クッキーを完売させた私は、
もうここには用はないと思って母ちゃんに「帰る」と言った。

母ちゃんは完売した事を喜んでいたようだったけど、
私は、そんな母ちゃんよりも母ちゃんのそばにいる女の子の方に目がいってしまって、
それどころじゃなかった。
あの、ぶるぶるドッグの財布を持った女の子。
母ちゃんのそばにぴったりと寄り添って、私をじろじろ睨んでいるようだった。

<>311名前:1:2009/04/16(木)22:22:52.32ID:Ax0QvrS80<>

睨まれたら睨み返す。DQNの作法に年齢は関係ない。
私よりも10歳以上小さいであろうその女の子を存分ににらみ返した。

もう関わるのがいやだったので、やんやうるさい母ちゃんを無視して帰ろうとした時、
女の子が「あのお姉ちゃん、私を睨んだ」と言って母ちゃんにすがりついて泣き始めた。
うざい子供だった。

<>320名前:1:2009/04/16(木)22:27:11.84ID:Ax0QvrS80<>

普段は優しい母ちゃんも、子供を泣かせると怖い。
めちゃくちゃ怒られて、「なんで睨んだりするんだ」と怒鳴られた。
「睨まれたから睨み返しただけ」と言ったら、
「世の中、睨まれて睨み返していいのは893だけだ」と母ちゃんは言った。

私は何も悪い事をしてないのに、なんで怒られなきゃいけないのかよく分からなかった。
分からないし、分かりたくもなかったのでさっさと母ちゃんから背を向けた。

こんなクソガキにかまっているよりも、早く遊びに行きたかったからだ。

<>330名前:1:2009/04/16(木)22:30:58.70ID:Ax0QvrS80<>

クソガキは、私の後をちょこちょこ付いてきた。
ほんとウザイ。なんてウザイんだろう。
「睨んでごめん」
とか言えばまだマシだけど、黙ってついてくる所がますますウザイ。

しばらくついてくるので、しびれを切らせた私は、「なんかよう?」と聞いた。

クソガキは、さっきまでのふるふるおびえているガキではなく、すました顔をしてた。
今思い出してもむかつく。

<>335名前:1:2009/04/16(木)22:34:16.87ID:Ax0QvrS80<>
「クッキーちょうだい」
「はぁ?」
「クッキーちょうだい」

右手を差し出したままじたばた足を踏み始めたクソガキ。
いや、言い訳じゃないが、もっと可愛くクッキーをおねだりされていたら、多分あげてたよ、多分ね。

「じゃあ100円」と言ったら、
「お姉ちゃん学校いってないんでしょ?」と言われた。

100円を支払えという事と、学校に行かない事と何の関係があるか分からなくて首を傾げた私。

<>343名前:1:2009/04/16(木)22:37:09.92ID:Ax0QvrS80<>
「学校行かないで何してるの?」

もっともな質問だけど、クソガキに言われると無償に腹が立つ。

「学校行かないと悪い人になるんだよ」
「それとも、悪い人だから学校行けなくされたの?」

近くに流れている綾瀬川に、このクソガキを沈めてやるかどうしようか本気で悩んだ。

<>361名前:1:2009/04/16(木)22:42:00.87ID:Ax0QvrS80<>

むかむかして、気づいたら、自分が泣いている事に気付いた。
無意識に泣いたのはこれが初めて。
なんでこんなクソガキにこんな事言われなきゃいけないのか分からないし、
私は何も悪いことしてないのに、何でこんな事言われなきゃいけないのかさっぱり分からない。

クッキークッキーうるさいクソガキに、土がついた袋の、割れたクッキーを投げつけて帰った。
別にそのクッキーをクソガキにあげようと思ったわけじゃなくて、
ただ、そのガキに痛い思いをさせたかっただけ。

<>372名前:1:2009/04/16(木)22:46:59.65ID:Ax0QvrS80<>

帰ってからわんわん泣いて、多分6歳くらいのガキに私の何が分かるんだと思った。
まぁあれですね、悲劇のヒロインっていうか、可哀想わたし、みたいにわんわん泣いてたんだと思う。
一体私のどこが可哀想なのか当時の自分に聞いてみたいけど、
まぁゴミみたいな人間だったからな。ゴミなりのプライドがあったらしい。

<>374名前:1:2009/04/16(木)22:49:40.49ID:Ax0QvrS80<>

ゴミのプライドは馬鹿に出来ない。
もう、めちゃくちゃに腹が立った私は、「じゃあ学校行くもん!」と、自ら定時制高校を探した。
定時制高校は腐るほどあったけど、どこも学費が高い。

なぜか、学費だけは母ちゃんや兄の世話になりたくないと思ってた私は、
今自分が持っているお金、2万くらいで行ける高校を本気で探していた。

もちろんない。そんな高校あれば今でも行きたい。

<>379名前:1:2009/04/16(木)22:51:51.78ID:Ax0QvrS80<>

半ばパニックになった私は、それからしばらくひきこもった。
多分数カ月くらい。
飯を作る事もやめたし、家事をする事もやめた。
一日中ベッドで、その日が終わるのを待つ生活を続けた。
多分ここが、私の人生の山だと思う。
ひきこもり時代の記憶はほとんどないけど、飯とか全くに近いほど食べてなかったと思う。

<>611名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)03:53:56.34ID:JBuSRmxE0<>

毎日ゴロゴロしながら、学校へ行ってる自分を想像して想像するだけで満足していた。
ニートが求人誌を見るだけで満足するようなもんだろう。
想像するだけで自分も高校生になった気がして嬉しかった。

母ちゃんは、家事をしなくなった私を毎日叱った。
怒られるというより、諭されている感じだった。
「今まで頑張ってきた、今までの1に謝れ!」とか、なんかそんな事を言われた気がする。
半分以上聞いてなかったから覚えてない。

<>615名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)03:56:48.35ID:IxE/oByd0<>
まだまだ素敵なクズっぷりだなwwwwwww

<>616名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)03:57:14.34ID:JBuSRmxE0<>

妹のおむつが、いつのまにか外れていた。もう漏らさなくなったと言ってた。
また私はとりのこされたと思った。
なんかこの辺りの自分は書いてても笑えてくるくらいの悲劇のヒロインっぷりだな、
ちょっと書きながら笑えてきた。

まぁそんなこんなで、自分は6歳くらいのクソガキに言われた一言で自信を失い、
更にどんどん成長する妹にも劣等感を感じてたわけだ。
朝目が覚めなきゃいいのにとか本気で考えてた記憶もある。

<>623名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:01:22.42ID:JBuSRmxE0<>

風呂とか入るのもめんどくさくて、ほとんど入ってなかったし、稼いだ金もあっというまになくなった。
何に使ったか全然覚えてない。多分通販で何か買ったんだろう。
また金がなくなった私は、妹のお年玉入れに手をつけた。
バレないだろうと本気で思ってた。
あと、兄の貯金箱からも金を盗んだ。
母ちゃんの財布にだけは唯一手をつけなかったけど。

貯金箱から金がなくなった事に気付いた兄は、夜中に私の部屋へ入ってきて、ぶん殴ってきた。
なんかむかついた。

<>627名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:05:30.41ID:DU0NofkO0<>
前向きになったと思ったら挫折して一歩進んで二歩下がる感じだな

<>628名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:05:52.82ID:JBuSRmxE0<>

兄は、自分の金がなくなった事よりも「人のものを盗った」事に怒っていたらしい。
まあ当然よね。

「お前が大切にしてる物がなくなったらどう思う?」と聞かれたけど、
別に大切なものなんかなかったし、「なんとも思わない」と答えた。

「人の物を盗るって犯罪なんだぞ?分かってるのか?」と聞かれたので、
「分かってる」と答えたと思う。

なんか兄は、一生懸命私を叱りながら諭してくれたけど、
全く自分の意思が伝わっていない事に驚愕したのか、そのうち悲しそうな顔をしだした。

「なんでそうなっちゃったんだよ」と聞かれたので、これにも「分からない」と答えたと思う。
その時、兄が泣いてるのを、久々に見た。

<>630名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:07:11.92ID:URJs1SJYO<>
病んでたんだな本当に

<>631名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:07:30.36ID:JBuSRmxE0<>

その日から兄は、家に帰ってこなくなった。
多分当時付き合ってる彼女の家にいたんだと思う。
妹とかちょくちょく会ってたらしいけど、私の顔が見たくなかったんだと思う。

兄は、母ちゃんに私が金を盗んだ事は言わなかったらしい。
母ちゃんからは何も言われなかったから。

<>632名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:07:55.20ID:IxE/oByd0<>
結構ヤバイ状態だな

<>634名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:12:04.41ID:JBuSRmxE0<>

ある日、母ちゃんにリビングへ呼ばれた。
母ちゃんは私に小さい包みをくれた。可愛いラッピングの、なんか小さい包みだった。

それと一緒に、手紙をくれた。
手紙には、「○○小学校なんねんなんくみ」みたいな、
小学校の提出プリントに書くような名前が書かれていたと思う。

「何これ」と聞いたら、「バザーであった○○ちゃん、覚えてないの?」と言われた。
人の名前なんか覚えられないので、全力で首を傾げた。
母ちゃんの説明を聞いて、あのクソガキの事かと思いだした。

「あんた、○ちゃんにクッキーあげたんでしょ?それのお礼だって」と言われたので、
「あげたんじゃないよ、ぶつけたんだよ」と嫌そうに言ったら、母ちゃんにめちゃくちゃ怒られた。

<>635名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:14:13.37ID:tNgHGUZTO<>
クソガキ再来か

<>637名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:15:16.03ID:JBuSRmxE0<>

包をぐちゃぐちゃに破いてあけたら、ハンカチが入ってたと思う。
いや、キーホルダーかな?あら、思いだせない。
とりあえず、そのお礼の品はあまり私好みじゃなかったので、妹にあげようと思った。

一緒にもらった手紙も封もびりびりに破いて読んだら、
「はやくがっこういけるといいね」とか書いてあったと思う。

その下に、大きなピンクのマジックで、「クッキーおいしかった、はなまる」と書かれてた。

クソガキから、16歳にして花丸をもらえた私。あんまり嬉しくなかった。

<>636名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:14:52.56ID:IxE/oByd0<>
1は他人の事を考えることが出来なくなってたんじゃねーか

<>642名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:21:21.27ID:Bo2dvyE50<>
そんな時もあるさ。
周りの事も自分の事も何も見えなくなる。

<>640名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:18:20.97ID:e6i/0Hf90<>
色々どうでもよくなっちゃったんじゃないか

<>639名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:17:21.44ID:JBuSRmxE0<>

母ちゃんから、「○ちゃんはあんたの作ったクッキー美味しい美味しいって食べてたわよ」と言われた。
ふーん、としか思わなかった。
手紙なんか取っておいても仕方ないので、すぐゴミ箱に捨てた。

少し前までは、自分の料理を食べて喜んでくれる妹を見て嬉しかったのになぁと思った。
今は、全然嬉しくない自分にちょっと驚いた。

<>641名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:20:35.17ID:JBuSRmxE0<>

母ちゃんはそんな私を見て、兄と同じように少し驚いた顔をしてた。
「あんた具合でも悪いの?」と聞かれた。
健康すぎる体なので、「大丈夫」と答えたけど、母ちゃんは心配そうにしてた。

それからまたしばらくして、家に母ちゃんのパート先の人がたくさん来た。
普段家に客なんか入れないのにと思ってたけど、
どうやらおばちゃん達とみんなで勉強会をするらしい。

<>644名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:23:59.12ID:JBuSRmxE0<>

わらわら家に人が入ってくる音がして、嫌だった。
人の足音だけでも気分が悪くなってたからな。
おばちゃんの声と、あと何人か子供の声が聞こえた。おばちゃん達の子供だろう。

クソガキのせいで、妹以外の子供が大嫌いになっていた私は、
地震か何かが起きて全員帰ればいいのにと思ってた。

イライラしながら部屋にいたら、母ちゃんに呼ばれた。
勉強会するから、子供達と遊んであげてほしいと言われた。

「絶対嫌だ」と言ったら、母ちゃんは少し考えてから「子もり代あげるよ」と言った。
私はすぐにOKした。

<>651名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:26:09.87ID:JBuSRmxE0<>

パートのおばちゃんどもの子供は全部で3人だか4人くらい。
もちろんというか、想像通りというか、その中にクソガキもいた。
パートのおばちゃんたちは「悪いわねぇ」とか言ってたけど、
悪いと思うなら連れてくるなよ、とも思った。

クソガキは私をみて「この前のプレゼント使ってる?」と聞いた。
前見た時よりも無邪気な顔をしてるというのが印象強いと思う。

<>656名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:28:48.70ID:JBuSRmxE0<>

子供は男の子と女の子半々くらい。
男の子は楽だ。だって、妹のゲームを貸し与えておけば勝手に遊んでくれるから。
めんどくさいのは女の子。
「なんかあそんで」としか言わない。
なんか遊んでってなんだよと思った。

<>658名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:29:22.55ID:DjxQr2vU0<>
相変わらずのクズっぷりが寧ろ清々しい

<>660名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:32:38.06ID:JBuSRmxE0<>

そしたら、クソガキの母親らしい人が、
「クソガキちゃん、お姉さんに聞きたい事あるんでしょ?」と口を挟んできた。

クソガキはもじもじしながら、「クッキー作りを教えてほしい」と言ってきた。
「めんどくさいから嫌だ」と思わず言いそうになったが、一応母親の手前、
「時間がかかるからまた今度ね」と言っておいた。

だけど、さすがにクソガキだけある。なかなか引き下がらない。
しかも、エプロンまで持参していやがった。ぴちぴちぴっちのエプロンだったと思う。

<>668名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:36:30.01ID:JBuSRmxE0<>

作る気満々じゃねーかよ、と思ったら、
母ちゃんが「恥ずかしがらないで“約束通り”作ってあげなさいよ」と言った。

クソガキと一緒にクッキー作るなんて話しらないぞ、と思ってたけど、
すぐに母ちゃんのしわざだと気付いた。

多分母ちゃんが、
「クソガキちゃん、うちの1がクソガキちゃんにまたクッキー食べさせてあげたいって言ってわよ」
とか何とか言ったんだろう。

だから無邪気な顔して私に飛びついてきたのか、このクソガキは、と思ったけど、
なんか、エプロン握ってわくわくした目を見たら「NO」とは言えない雰囲気になり、
一緒に作る事になった。

<>670名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:38:45.17ID:IxE/oByd0<>
かーちゃんは1を人と触れさせたかったんじゃねーかなぁ

<>676名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:42:58.56ID:sBdPcW5YO<>
必死なクソガキ可愛い…

<>674名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:40:26.36ID:JBuSRmxE0<>

子供の相手は疲れる。
しかも最近、家族とさえあまり会話していなかった私は、
人と話す事がこんなに疲れるのかと驚愕したくらいだ。

分量を量れと言ってるのに、なんか違う事し始めるし、泡だて器なんかみんなで取り合い戦争だ。
「私は全然作業できない」とか言って泣き出す子までいるし、
許されるなら全員穴へ放り込んでやりたいと思った。

やりたい放題のガキどもの中で、クソガキだけは一生懸命なんか紙にメモをとってた。
子供にしか読めないだろうミミズのような字で、真剣にクッキーを作るクソガキは、
ちょっと可愛いと思った。

<>678名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:43:59.39ID:JBuSRmxE0<>

クッキーを焼いてる間、他のガキどもはバタバタ走り回っても後片付けなんかしないのに、
クソガキだけは後片付けを手伝いながらじーっとオーブンを見てた。

よっぽどコイツはクッキーが好きなんだなと思った私のエプロンを、クソガキが引っ張って呼ぶ。
「なに?」と聞いたら、こっそり耳打ちするように、
「お母さんの誕生日に、クッキー焼いてあげるの」と言った。

貯めてたお小遣いでハンカチと、クッキーを作ってプレゼントするんだと。
対して興味もなかったが、「これは内緒ね」と言ったクソガキが意外にも可愛い顔をしてたので、
ちょっとだけ笑顔を返してあげた。

<>680名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:44:42.02ID:P6clQanR0<>
クソガキかわゆすwww

<>685名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:47:30.53ID:JBuSRmxE0<>

なんかよく分からないけど、クソガキは私によほどなついたらしい。
クッキーが焼きあがったときも、食べる時も、私の隣をくっついて離れようとしない。
人から好かれるのはそんなに悪い気分ではなかったので、単純に嬉しかったと思う。

男の子がゲームの対戦をしようと言ってきたので、一緒にやった。
ニートのゲーム力を存分に発揮したら、男の子から尊敬された。
めんどくせーと思ってたけど、子供と遊ぶのはそこそこ楽しいと思った。

<>686名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:48:23.47ID:sq7sgYnS0<>
やっぱ自分のことが嫌いなのか

<>691名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:51:01.10ID:JBuSRmxE0<>

勉強会が終わって、おばちゃんや子供たちが帰ったあと、なんか顔が痛い事に気付いた。

母ちゃんに「なんか顔が痛い」と言ったら、
母ちゃんはにやにやしながら「久々に笑ったからじゃない?」と言った。
多分、母ちゃんは確信犯だと思った。

みんなが帰ってから、ちょっと寂しいと思った。
久々に、妹とゲームをしたいなと思った。
その前に母ちゃんから今日の子もり代をもらわなきゃと思った。
もらえたお金は500円だった。

<>694名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)04:54:03.05ID:e6i/0Hf90<>
金はきっちり貰うのかw

<>696名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:54:51.06ID:JBuSRmxE0<>

「500円なんか小学生じゃあるまいし、もっとちょうだい」と言ったら、
「じゃあいくら欲しいの?」と聞かれた。
母ちゃんにはお金をせびりにくいので、金額が言いだせなかった。
なので、しぶしぶ500円で我慢した。

母ちゃんからもらった500円を持ってスーパーへ行った。
お菓子を買おうと思ったけど、ぴちぴちピッチのレターセットだかメモ帳だかを見かけた。
値段は覚えてない。300円くらいかな。
お菓子はクッキーがあまってるからいいか、と思って、私はぴちぴちピッチのレターセットを買った。
クソガキに、クッキーのレシピをこれで書いてやろうと思った。

<>704名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)04:58:07.12ID:JBuSRmxE0<>

あんなミミズみたいな字で書いたレシピじゃ、
クソガキの母親が腹を壊すかもしれないと思ったからだ。
家に帰ってからレシピをつらつら書いて、母ちゃんに「クソガキに渡してくれ」と手紙を渡した。
母ちゃんはびっくりして、天変地異でもおこったような顔をしてた。

「このキャラクターの封筒、あんたが買ったの?」と聞かれたから、
「さっき母ちゃんからもらったお金で買ってきた」と答えた。
久々に母ちゃんにめちゃくちゃ褒めてもらった。

<>708名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:00:40.08ID:JBuSRmxE0<>

「もったいないと思った?」と母ちゃんが言った。
せっかくもらったお金で、クソガキへあげるレターセットを買う事がもったいないと感じたのか
聞いてるようだった。

そういえば、別にもったいないと感じなかったなと思ったので、そのまま答えた。
母ちゃんは、「母ちゃんが自分じゃなくて子供にお金使うのと同じだね」と言った。

誰かのために金を使って、それがもったいないと感じなければ、
そこには愛があるらしい。これは母ちゃん持論。

<>713名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/17(金)05:04:14.44ID:+wXrQgm3O<>
その持論いただきました

<>726名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:07:49.75ID:JBuSRmxE0<>

「やだよ、あんなクソガキ。愛なんかないよ」と言ったら、母ちゃんはまたにやにやしてた。
珍しく、勉強会のあと会社へ戻らなくてもいいらしい母ちゃん。
平日に母ちゃんが家にいる事なんかほとんどなかったので、なんだか新鮮だった。

母ちゃんもいるし、妹とゲームもしたかったので、ふと思い立って久々にご飯を作ろうと思った。
どうせオーブンの掃除とかもしなきゃいけないし、キッチンに立つついでと思って。

キッチンへ立った私を見て、母ちゃんはまた地球が崩壊したような驚きぶりだったけど、
なんか嬉しそうだった。

<>730名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:11:02.97ID:JBuSRmxE0<>

私が久々にキッチンに立って、一番喜んだのは妹だろう。
夕方遊んで帰ってくるなり、料理作ってる私をみて、
妹は「お姉ちゃんのご飯が食べられるの?」と聞いてきた。

私の隣でずーっと料理を見てたし、「早く食べたいなー」とずっと言ってた。
あとでゲームしようねと言ったら、妹はくるくる回って「やったー」と喜んでいた。
なんか、これもまた久しぶりに心から妹が可愛いと思った。

<>738名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:14:38.91ID:JBuSRmxE0<>

それからまた少しずつ料理を作り始めた私は、
前みたいに誰かに料理を食べてもらいたいという気持ちがちょっとずつ戻ってきていた。

妹も母ちゃんも、私の料理を世界一の料理みたいに褒めてくれるから嬉しいし。

あと、クソガキからまたお礼の手紙が母ちゃん伝いに来た。
今度の手紙は捨てないで取っておいた。

またそれからしばらくして、クソガキから再び手紙がきた。
ウソガキと、クソガキの母親、二人で映った写真だった。
クソガキの母親は、クッキーとハンカチを持ってた。
母親の誕生日に、ちゃんと私に言った通り、プレゼントとクッキーを作ったらしい。

<>744名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:16:52.58ID:JBuSRmxE0<>

クソガキの母親は顔をくしゃくしゃにした笑顔で写真の中にいた。
よほど嬉しかったんだろうなと思った。
そういえば、私は母ちゃんに何かあげた事ないなと思った。
そりゃ小さい頃や、まだ家が正常だった頃は、肩たたき券とかあげてたかもしれないけど。

またふと思い立って、母ちゃんに何かあげたいと思った。
本当、書きながら思うが、私は何を行動するのも全て思いつきで行動していると思う。

<>746名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:19:20.06ID:JBuSRmxE0<>

別に誕生日でも何でもないし、母の日とかそんな日でもないし、
あげる理由も特にないけど、なんかあげたかった。
多分、クソガキに負けたくなかったのかもしれない。
なんか、やり遂げてるクソガキに対抗したかったというかなんというか。

相変わらずお金はないので、物は買えない。
もちろん金を稼ぐつもりもないので、金のかからない何か。

肩たたき券とかでいいかと思ったけど、もっと高級そうな物をあげたかった。
でも金はかけられない。
凄い矛盾。

<>748名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/17(金)05:21:24.98ID:JBuSRmxE0<>

母ちゃんに、「何か欲しいものある?」と聞いた。
母ちゃんは「家」と答えた。
家はさすがに無理だった。

「じゃあ今何が一番したい?」と聞いた。
「出世したい」と言われた。
出世もさすがに無理だ。

「じゃあ、100円以内で何か買うとしたら何買う?」と聞いた。
「貯金する」と言われた。
だんだんいらいらしてきた。

<>115名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:14:08.37ID:L5z77960<>

母ちゃんになんかプレゼントしたくても何も浮かばないので、
諦めの早い私は「なんかめんどくさいしもういいか」と思った。

でも一応気持ちだけは伝えようと思って、「母ちゃんに何かあげようと思ってた」とは言った。
母ちゃんは「気持ちだけで十分だよ」とかそんな事を言ってと思う。

「でも強いて言うなら、プレゼントじゃなくてもいいから、また1のプリンが食べたいな」
と母ちゃんが言ったので、すぐに作り始めた。
「今じゃなくてもいいのに」と言われたけど、
思い立ったらすぐにやりたかったので、母ちゃんを無視してプリン作った。

母ちゃんは「美味い美味い」と大喜びで食べてくれて、
どんぶりいっぱいのプリンを一人で食べてくれたと思う。

<>119名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:19:02.04ID:L5z77960<>

母ちゃんから愛されていないんじゃないか、と心配になった事は一度もない。
多分、兄も妹もないと思う。
家事手伝いしているだけなのに、立派に小学生をしている妹と、
ニートの私を比べて何かを言う事もなかったし、
“子供3人は分け隔てなく”が子育てのモットーだったらしい母ちゃんは、
兄妹間で何かを比べる事もなかった。

母ちゃんの愛情深さは、われわれ子供だけに注がれていた訳じゃない。
オヤジもそうだ。
友達なんかいないオヤジは、何かあればすぐ母ちゃんを頼って連絡してきた。

<>123名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:24:58.64ID:L5z77960<>

私はオヤジをめちゃくちゃ恨んでいたので会うつもりはなかったが、
妹はオヤジに会いたいようだった。
母ちゃんもそれはよく分かっていて、
毎週毎週オヤジと妹を会わせるために妹をオヤジの所まで車で送っていってた。

ここまではよくある片親の生活なのかもしれないけど、母ちゃんはそれとは別に、
週に一度は必ずオヤジと二人きりで会っていたようだ。

オヤジが母ちゃんに金でもせびっているんじゃないか心配になったので、母ちゃんに聞いたら、
オヤジから金をせびられた事はないと言ってた。本当かどうかは分からない。

じゃあ何でわざわざ毎週毎週別れた亭主と会う必要があるのか聞いたら、
「だって母ちゃんとオヤジは愛し合っているんだから、デートくらいしてもいいでしょ」と言ってた。
あんなクズオヤジをまだ愛している母ちゃんは、男を見る目がないと子供心に思っていた。

<>126名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)01:28:23.43ID:R0slvago<>
1の母ちゃんは人の悪いところは見ないんだろうなぁ
ほんと偉大だな

<>131名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:32:16.11ID:L5z77960<>

ある日、母ちゃんから「今日は夕食作らなくていい」という電話がかかってきた。

夕方、母ちゃんは社員の人とかパートのおばちゃんとか、結構な人数を家に連れて帰ってきた。
狭くない家だったけど、かなりの人数(多分20人近くいた)だったので、
一気にリビングが人くさくなった。

クソガキいないかな、と思って探したけど、
この日はクソガキの母親は来てなかったので、いなかった。
ちょっとがっかりした。

<>133名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)01:33:25.47ID:dNHPCQ6o<>
相変わらずクソガキなのなww

<>137名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:38:35.72ID:L5z77960<>

ケンタッキーとか、なんかそういうみんなでつまめるおかずを買ってきた母ちゃんは、
段ボールでお酒を持ってきて、「今日はみんなで飲もう」と言ってた。

一体何のお祭りかと思ってたけど、どうやら、ずっと言ってたISOが取得できたらしい。
社員みんなでお祝いという訳だったようだ。

私は人がたくさんいて気分が悪かったので、部屋へ戻ってしまおうと思ってたけど、
その場にいた全員が母ちゃんを褒めたたえるので、もう少し聞きたいと思ってその場にいた。

あるパートのおばちゃんは、「母ちゃんから教えてもらった漢方を飲んで腰痛が治った」と言った。
ある社員の兄ちゃんは、「母ちゃんのおかげで結婚出来た」と言った。
どうやら、アルバイトの女の子の仲を取り持ったんだろう。
またあるおっさんは、「母ちゃんのおかげで妻の料理がうまくなった。もう家に帰るのが苦じゃない」
と言ってた。

母ちゃんは、しんけんゼミみたいな人だと思った。

<>146名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:46:50.09ID:L5z77960<>

母ちゃんは、朝誰よりも早く出勤して、会社のトイレを掃除して事務所も掃除して、
事務仕事をしてたと思ったら、工場へ走って現場の手伝いもする。
また、缶工場なので大きな機械で指を落としてしまったりした社員の病院の付き添いまでして、
昼休憩はおばちゃんや社員の悩み相談相手になっているんだと。

変なおっさんが「課長がいなきゃ会社が回らない」と言ってた。
あるおばちゃんが「やだな、今日から母ちゃんさんは部長ですよ」と言ってた。

忘れてたけど、そういえばISOが取得出来たら母ちゃんは部長に昇進出来るんだっけ、と思った。
今日から私は、部長の娘になったらしい。
別に私は何もしてないけど、めちゃくちゃ誇らしかった。

<>154名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)01:54:11.20ID:L5z77960<>

母ちゃんは、どこにでもいるような普通のパートのおばちゃんだったのに。
今じゃこれだけの部下を引き連れる部長だ。

「母ちゃんは運がいいんですね」と言ったら、
その場にた全員が「何言ってんのコイツ」って顔で私を見てきた。

「1のお母さんは、30人分くらいの仕事をこなしながら、
人の30倍努力したから部長になれたんだよ」と変なおっさんが言った。

製造業で女女性幹部というのはひどく毛嫌いされるらしく、
たとえるなら、ニュー速+にスイーツ(笑)が降臨するようなものなんだろう。

袋叩きというか、実際、母ちゃんが課長に昇進した辺りで
「女性が取り仕切っている職場なら、おたくは大した仕事も出来ないんだろ」とか言って、
まとまりかけてた仕事を取引先がキャンセルしてきた事なんかもあったらしい。

母ちゃんは会社の愚痴なんかこぼした事がなかったから、そんな事全然知らなかった。

<>157名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:02:36.27ID:L5z77960<>

母ちゃんの会社は、事務と一口にいっても、大手会社やそこそこ大きい中小企業のように、
「営業課」とか「総務課」とかに分かれていない。

もちろんそれぞれ専門で稼働している事務員はいるんだけど、
営業も総務も全部まとめて取り仕切っているのが母ちゃんだから、
もし伝票不備があれば銀行に走りに行くのも母ちゃんだし、
営業先でトラブルがあれば頭を下げに行くのも母ちゃん。

一体母ちゃんはいつ休んでるんだろうというのが、会社の七不思議に入っているらしい。
その七不思議は、今でも解明されないままだ。

ある時の営業先で、新規の顧客獲得の大きな仕事だったので、
営業マンと母ちゃんの二人で商談へ行った事があったらしい。

その時の担当者が、「責任者」と書かれた母ちゃんの名刺を見て、
すぐに営業マンを席からはずさせて、「じゃあ今晩ね」と言ったんだと。

製造業での女性差別はさっき書いたと思うけど、女性が幹部になり、
なおかつ営業でトップの立場だと、全員“枕営業”に思われるらしい。

「で、どうしたの?」と聞いたら、
「私はニューハーフなんですって言ったら、それから一切セクハラは言ってこなくなったww」
と母ちゃんが言ってた。

<>159名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:07:59.50ID:L5z77960<>

会話の合間に、変なおっさんが、ビール片手に
「1の母ちゃんさん、お願いだから辞めないでね」と言った。

母ちゃんは、「会社が潰れない限りはいるから大丈夫、そんなに心配すんなよww」と笑っていた。

会社に来る顧問の先生などは、みんな大手製造業の元お偉いさん方なので、
母ちゃんの仕事ぶりを見て
「中小企業なんかにいないで、もっと大きい所で実力を出しなさい」と、
必ず名刺をもらえるらしい。いわゆるヘッドハンティング。

その図を見る度に、おっさんははらはらして、「お願いだから行かないで!!」と心の中で願うんだと。

あとからその変なおっさんが社長だと知った。

<>163名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:12:34.62ID:L5z77960<>

社長ってもっと威厳のあるもんだと思ってたけど、
なんかなよなよしてるし、母ちゃんの方がどう見ても偉そうだった。
偉そうというか、それこそ母親と息子みたいに二人が会話してるので、
上下関係なんかそこには微塵も見えなかったと思う。

時間も遅くなってくるとパートのおばちゃん達は全員引き上げていった。
あと、奥さん持ちの社員も。
残ったのは独身男性社員数名と、なよなよ社長だけ。
おばちゃんが帰ると、男性社員はおばちゃん達の悪口を言い始めた。
おばちゃんは子供が熱出ただけで休むから嫌とか、
平気で遅刻してくるくせにろくに謝らないとか、どこにでもあるような愚痴。

<>167名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:20:18.18ID:L5z77960<>

男性社員は、こぞって母ちゃんに媚を売っているように見えた。
あのパートさんが陰で母ちゃんの悪口を言ってたから俺が止めましたとか、
あのパートは仕事をさぼるので俺ががつんと言ってやりましたとか、
母ちゃんに嫌われたらあの会社では生きていけないのかもしれないと思うくらい、
みんな必死に見えた。

その日みんなが撤退してから、「母ちゃんて凄いんだね」と言ったら、
「どこが凄いと思った?」と聞かれたので、「人望があついから」と言った。

そしたら母ちゃんは、
「みんな私には本音は言わないよ、だからそんなのは人望があついとは言わない」と言ってた。

母ちゃんはみんなと上下関係なくなかよくしたいんだけど、
役職がつくとみんな掌を返したようにゴマをすりはじめるらしい。
今日の図を見て、それは何となく想像がつく。

「普通にパートだった時はそんな事なかったし、みんなと本当になかよく出来たのになぁ」
と母ちゃんが言ってた。

現場のトップに立つ人間は、嫌われるのが仕事なんだとも言ってた。
会社への不満は、全部社長ではなく、母ちゃんへいくらしい。

なかなか出世するのも大変なんだなと思った。

171名前:1◆6ClmPIZy/M:
<>2009/04/18(土)02:25:09.01ID:L5z77960<>

パートだった頃の母ちゃんは家でよく会社の愚痴をこぼしていた。
だけど、役職がついてからはこぼさなくなった。
子供の事や、オヤジの事、会社の事、母ちゃんにだって不満や愚痴はたくさんあると思う。
だけど、母ちゃんは誰にもその愚痴をこぼさない。
一体どこでストレス解消しているのか不安に思った。

それから数日して、妹が母ちゃんへ花をプレゼントしていた。昇進祝いらしい。

妹は、「私と、お姉ちゃんからだよ」と言っていた。
私はお金なんか一切出してないのに、妹は連名にしてくれたらしい。
だから私は、「そうだよ、妹と私から」と言っておいた。
妹をたてようなんて気はさらさらなかった。

<>173名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)02:26:38.51ID:nfc/g.SO<>
妹たてろよwwwwww

<>174名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)02:26:40.46ID:R0slvago<>
さすが1、期待を裏切らないなww
まだまだクズだww

<>179名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)02:30:49.58ID:Q7gLo2AO<>
聞こえは妹立ててるけど
本音はwwwwww

<>180名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)02:31:06.07ID:xDP8RMAO<>
でも、母ちゃんは全てお見通しだろうな。

<>182名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:34:42.68ID:L5z77960<>

母ちゃんは、「今度は取締役を目指す!」と言って、ISOの勉強が終わったばかりなのに、
今度は経営者研修とかいうのを受け始めた。
もういっそ母ちゃんが起業しちゃえばいいのにと思ったが、
あの会社が好きなのであくまでもあの会社で出世したいらしい。

40代半ばで部長なんて、高学歴のエリートみたいに凄いらしいのに、
もうこれ以上頑張らなくてもいいなじゃないかと思った。

ある日母ちゃんは、私と妹を連れて不動産屋に出かけた。
家を建てたいんですけど、と店員に言ってた。
テーブルを挟んで、家の話をしている母ちゃん。
店員に大体の年収は、と聞かれて、「600〜700万くらいです」と母ちゃんは答えた。

扶養控除内で働くおばちゃんが、10年かからずに年収700万になれた例なんて、
きっと日本じゅう探してもほとんどいないと思う。

<>187名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)02:39:00.83ID:6AvcAgYo<>
そこで家を建てるって発想は凡人にはできんなww

<>190名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:40:39.57ID:L5z77960<>

いくつかパンフレットをもらった母ちゃんに、「家建てるの?」と聞いた。
そしたら、「今はまだ建てられないけど、あんたが25になるまでには必ずたてる」と断言した。

帰りの車の中で、母ちゃんは「こんな家が欲しいんだ」と夢を語ってくれた。
少女趣味な母ちゃんらしく、吹き抜けのリビングに、真っ白な壁で、御庭は広くて、
とか、子供みたいにうきうきしながら語ってた。
部屋数は少なくていいらしい。
バラバラに部屋に閉じこもるより、ひとつの場所に家族がそろっているのがいいんだと。

「妹の部屋はこんな感じで、1の部屋はキッチンに一番近い部屋がいいな」と話す母ちゃん。
「母ちゃんの部屋は?」と聞いたら、「オヤジと相談して決める。オヤジの部屋にもなるし」と言ってた。
自分で稼いで立て直す家、そこに暮らす家族の中に、オヤジも含まれているようだった。

<>199名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:49:26.19ID:L5z77960<>

ごめん、前置きとして、私の記憶で思いで深い話からばんばん思いつくまま書いてるから、
時系列がぐちゃぐちゃです。
事実、不動産やに行った時はもう妹は中学生だったと思うし。
読んでいて「???」となったら聞いてもらいたい。
多分聞かれても答えられないけど。

ある日、母ちゃんが「ボーナスが出たから美味しいものごちそうしてあげる」と言って、
回っていないお寿司屋さんに連れていってくれた。
私の好物NO.1は寿司。
私の誕生日も近かったので、母ちゃんは「値段は気にせずばんばん食べなさい」と言ってくれた。

値段は気にせずとはいえ、値段なんかどこにも書いてないし、メニュー表もない。
妹は、ずっとかっぱ巻きを食べていた。今思えば遠慮していたんだと思う。

でも私は遠慮なんかするつもり皆無なので、うにとかトロとか、
とにかくこの機会に食べてみたかった寿司ばかり注文し続けた。

<>207名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:55:06.21ID:L5z77960<>

回っていない寿司は、美味すぎた。
こんなに美味しい食べ物が世の中にはあるのかと思った。
特に気に入ったのがえんがわで、えんがわだけでも5カン以上食べたと思う。

相変わらずかっぱ巻きばかりの妹に、「あんたも高いお寿司食べなよ」と言ったら、
少し迷ってから「じゃあツナのお寿司食べる」と言った。板前さんと母ちゃんが大笑いしてた。

優しい板前さんは、あぶったマグロを叩いて、ツナっぽくして出してくれた。
妹は、「かっぱ寿司のツナより美味しい」と言っていた。

私はこの寿司屋で食べた寿司があまりに美味しくて、2、3日寿司を食べる夢ばかり見ていたと思う。

<>208名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)02:59:37.29ID:L5z77960<>

寿司を腹いっぱい食べたいけど、お金がない私は、
家で作れば腹いっぱい食べられるじゃん!と思った。
ただ、家で寿司を作るのは難しすぎた。巻物も難しい、まして握りなんかとんでもない。
べちゃべちゃのぐっちゃぐちゃ。
4号の酢飯と1500円分の刺身を無駄にした私は、もう寿司は諦めようと思った。
諦めの速さだけは自信がある。

<>215名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:05:53.77ID:L5z77960<>

それでも、今度の諦めは諦めきれなかったらしい。
日に日につのる寿司への思い。
見かねた母ちゃんが「週に一度は寿司屋につれていってあげるから」と言ってくれたけど、
週に一度ではなく毎日食べたかった。

お金がないので自分で寿司も買えない。
母ちゃんからもらっている食費で昼飯にパック寿司を買ってたけど、
毎日毎日500円も600円もするスーパーの寿司を買い続けると、一気に食費がなくなる。

寿司食いてぇ、が口癖になっていた私は、家の近くにある、
例のどらえもんがメインキャラクターだった寿司屋にふらふら出かけた。

店の外に、「バイト募集」と書かれていた。「まかないつき」とも書いてあった。
まかない=ご飯=寿司屋でバイト=毎日寿司食べ放題!
そんな単純思考が働いた。

<>221名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:08:35.99ID:L5z77960<>

よく、ニートから脱出するスレとかVIPで見かけるが、みんな感動的だよな。

母ちゃんを楽させてあげたいとか、そんな涙なみだの物語が多いと思う。
私も何度も泣いた事がある。

でも私は、そんな涙なみだな物語はないです。ごめんなさい。
お寿司食べたいから寿司屋で働いてみよう!
そして寿司作りを習得したらさっさとやめて、家で寿司作り放題!と思って、ニート脱出を決意した。

<>234名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:16:11.14ID:L5z77960<>

店の外にあった張り紙には、「応募先の電話番号」が書かれていなかった。
だから、どこに電話すれば働けるのか聞こうと思って、店へ入った。
中には、化粧のきついおばちゃんが一人でいた。
平日の昼間だから、パートのおばちゃん一人なのかもしれない。

おばちゃんに「外の張り紙みたんですけど」と言ったら、「あんたいくつ?」と聞かれた。
「もうすぐ18です」といったら、「高校生?」と聞かれた。
高校へは行ってませんと答えたら、「なんで?」と聞かれた。

なんかイヤミなババァだなと思って、
「いや、そんな事より応募先の電話番号が知りたいだけなんですけど」と言ったら、
「あ、電話番号ね。じゃあここに家の電話番号書いて」と言われた。
日本語が通じないババァだと思った。

<>241名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:22:56.82ID:L5z77960<>
「趣味は?」
「ゲームです」
「今までバイトした事ある?」
「あります(バザーでクッキー売った)」
「なんで応募したいの?」
「寿司が食べたいからです」

時間にして、5分くらいだったかな。いや、もっとだったかも。

当時DQNにありがちな金髪(笑)にしていた私の頭を見て、
化粧のきっついババァが、「全然似合ってないね」と言った。
なんかむかつくし、色々聞いてきて厭だったので、
「やっぱいいです」と言って逃げるようにして店を出た。

その日の夜、母ちゃんが帰ってきてから電話がかかってきた。
「1、○○寿司から電話よ」と言われた。
電話に出たら、
「あ、あんた合格だから!明日の9時にお店きて!あと履歴書と髪の毛のゴム持ってきてね!」
ガチャ、みたいな。
いや、本当こっちの話なんか何も聞かずに一方的に電話を切った、
多分今日色々聞いてきたババァであろう人間からの電話。

母ちゃんが「なに、お寿司の配達か何か?」と聞いてきたので、
「なんかバイト合格したみたい」と言ったら、母ちゃんは食べてたせんべいをぶーっと噴き出してた。

<>243名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:26:32.90ID:lAV31YAO<>
これは母ちゃん嬉しいだろ

<>247名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:27:44.41ID:L5z77960<>

関東大震災が起きると予言された時のように、
母ちゃんはがたがた震えだして、「落ち着いて落ち着いて」と自分を落ち着かせていた。

「あんた、いつ面接行ったの?履歴書は書けたの?その髪の毛で大丈夫なの?」
と聞いてきたので、全部分からない、と答えた。

面接なんかしてないし、飛び込みでいっただけなのに。
多分あのババァが店長か何かだろうなと思って、
家じゅうをうろうろしている母ちゃんをしり目に、
明日9時に起きれないから12時くらいに行くか、と考えてたと思う。

<>248名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:28:48.46ID:nfc/g.SO<>
待てwwwwww

<>259名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:34:15.16ID:L5z77960<>
「いつから働くの?」
「明日に来いって」
「明日何時に行くの?」
「9時だけど、朝寝坊するから昼に行こうと思う」
「馬鹿!友達と待ち合わせじゃないんだから!」
「でも起きる自信ない」
「母ちゃんが起こしてあげるから絶対行きなさい」

母ちゃんが、こうしちゃいられないと言って、まずオヤジに電話して「1が働くのよ!」と言った。
そのあと兄に電話して、また「1が働くのよ!」と言った。
妹を部屋から引きずり出してきて、
「妹、重大発表よ。なんと!お姉ちゃんが働くんだって!!」と言った。
妹も、目をぐりぐりさせて「お姉ちゃん大丈夫なの!?」「何やるの!?」と聞いてきた。

「寿司屋だよ」
「お寿司作る人になるの?」
「何するかわからないけど、お寿司が食べられるらしい」

やったねお姉ちゃん、お寿司大好きだもんね!と言って妹は何度もおめでとうと言ってくれた。
大げさだな、と正直思った。だってすぐやめる予定だったし。

<>269名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:40:40.36ID:L5z77960<>

客商売なら一度バザーで経験がある私は、楽勝でしょ、と意味不明に自信まんまんだった。
もう3年以上もニートのくせに、初めて出る社会への不安なんか微塵もなかった気がする。
私はやればできるから、やらないだけだから。とテンプレート通りのニート思考を発揮していた。

その日、母ちゃんによる“バイト講座”をされた。
挨拶とか、返事とか、なんかそんなのだったと思う。

<>275名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:45:52.27ID:R0slvago<>
ホント肝据わってるな
なかなかの男前っぷりだ

<>278名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:48:45.19ID:L5z77960<>

翌朝、朝7時に母ちゃんからたたき起こされた私。
朝ごはんを作るために起きる事はあっても、朝ごはん作ってから二度寝の時間があるから、
起きるのはそんなに苦じゃないけど、今日は起きたら起きっぱなしなわけじゃん。
めんどくさくてベッドから絶対起きないとかたく決心した。

だけど、母ちゃんに布団はがされて無理やり体を起こされたのでしぶしぶ起きた。
起きたら妹がキッチンに立っていた。お姉ちゃんの初出勤のためにお弁当を作るんだと言っていた。
寿司食べられるんだから弁当なんかいらないのに、と思ったけど、
はりきってウインナー炒めてる妹にむかって、そんな事は言えないと思った。
あとでこっそり弁当は捨てようと思ってた。

9時に来いと言われたので、まあ9時に家を出ればいいだろうと本気で思っていた私は、
それを母ちゃんに伝えたら朝一番で怒鳴られた。
母ちゃんに怒られた事なんかほとんどないので、
これだけ怒るって事は時間はそんなに大切なんだなとよく理解した。

「余裕を持って8時30分には家を出なさい」と言われたので、妹の弁当を持って出かけた。
もう母ちゃんも妹も出てしまっていたので、自分一人しかいなかったけど、
8時30分ちょうどに家に母ちゃんから「時間なので出勤しなさい」コールが入ったから、
しぶしぶ出かけた。
寿司屋まで自転車で5分くらい。
そういえば、時給の値段も聞いていなかったなと思った。

<>281名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:51:06.91ID:R0slvago<>
捨てるなよwwwwww
ホントお前は素敵なクズだなwwwwww

<>286名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:54:26.75ID:XwtPfkUo<>
少しは一般人の感覚が戻ってきたかと思ったら
次の文では相変わらずのクズなようで安心した

<>289名前:1◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)03:55:51.43ID:L5z77960<>

ついた店では、すでに2人のおばちゃんが店を掃除していた。
どこにでもいるような普通のおばちゃん。
「9時にここに来いって言われたんですけど」と言ったら、
おばちゃんは「トレーナー、バイト来ましたよ」と奥にいたあの化粧の濃いババァを呼んだ。

トレーナーは何も言わずに私の前に立って、黙ってる。
「何したらいいですか」と聞いたら、
「もう一回やり直しだな、こりゃ」と言って、私を店の外に出るように言った。

「もう一回店に入ってくる所から」と言われたので、また同じように自動ドアをあけて店に入った。
そしたらまた同じように、トレーナーは黙って私の前に立つ。
なんかイライラしてきた。一体何がしたいのか分からない。

<>285名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)03:54:23.18ID:D8IRhSko<>
1
この話の終着点は現在になるのか?

285
ごめん、ほんと分からない。
ただ、今書いてるバイトは18歳目前の17歳の時の話。
んで今私は24歳目前の23歳なんだけど、この6年間全部を書こうなんて思っていない。
だけど、あ、そういえばこんな事あったなっていうのをぽこぽこ書いてるから、
時系列もめちゃくちゃだし、思い出せるネタは全部書ききろうとは思ってる。

まぁつまり、予定は未定って事だ。
そこまで長くならないと思うけどね。

<>311名前:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:10:31.61ID:L5z77960<>

イライラした私は、「一体なんですか?」とトレーナーに聞いた。
トレーナーは、「あんたバイトした事あるんでしょ?」と言ったので、
「あります。バザーでクッキーを売りました」と自信満々に答えた。

掃除してたおばちゃんと、トレーナーが顔を見合わせてぶっと吹き出して笑い始める。
おばちゃんが、「トレーナー、また変わった子拾いましたねww」と言った。

何を笑っているのかよく分からないし、なんて失礼な人たちだろうと思ったので、
取りあえずその場にいた3人まとめて睨んだ。

<>315名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:12:45.88ID:/ddBb/s0<>
名前wwwwクズ子wwwwwwww

<>318名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:13:39.97ID:km3SvkDO<>
クズ子で確定したか

<>323:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:14:37.33ID:L5z77960<>

ひとしきり笑ってから、トレーナーが「職場では、挨拶が命だ」と言った。
そういえば昨日母ちゃんがそんな事を言ってたと思うけど、
半分以上聞いてなかったので覚えてなかった。

「まず、職場にきたら“おはようございます”。夜でも“おはようございます”だからね。
あと、あんた今日初日なんだから、“よろしくお願いします”も言わなきゃダメ」

分かったらさっさとやり直しな、と言われたので、むすっとしながらもう一度自動ドアをあけた。
「ざいまーす…」と軽く言ったら、「なんじゃその日本語は」と怒られて、やり直しをさせられた。
結局、トレーナーが満足する挨拶が出来るまでに、10回くらいやり直しさせられたと思う。

<>324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:15:18.96ID:D8IRhSko<>
コテ名に相応しい行動だなww

<>329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:16:42.39ID:R0slvago<>
クズ子の自信がどこから来るのか知りてぇwwwwww

<>340:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:19:44.96ID:L5z77960<>

もう、店にきて15分たたずに帰ろうと思った。
とりあえず昼飯だけ食べて、今日の分の給料もらったらもうやめようとも思った。

トレーナーが、「まず履歴書」というので、そういえば履歴書必要だったけな、
と思って「忘れました」と答えた。
履歴書はまた明日でいいと言われて、「じゃあ、身支度するから髪の毛しばって」と言われた。
そういえば髪の毛のゴムもねーな、と思ったのでまた「忘れました」と答えた。

「あんた何しに来たの?」と言われたので、「お寿司食べにきました」と答えた。
トレーナーは、また大笑いしてから、「あんた素直だね」と言った。

<>345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:21:01.43ID:R0slvago<>
トレーナー大物だな
クズ子も別の意味で大物だがなwwww

<>353:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:25:10.83ID:L5z77960<>

「あんたにはレジ打ちしてもらうから」と言われたので、「え?お寿司作れないんですか?」と聞いた。

明らかに不満いっぱいに言った私に、トレーナーがにやにやしながら
「とりあえず今日一日レジやって、合間に厨房を見ればいいよ。
レジ打ちの方が寿司作りよりも好きになるから」と言った。

もう今日でやめる気満々だった私は、
「一日で寿司作りマスターできると思ったのに」とめちゃくちゃ落ち込んだと思う。
しかも、レジ打ちなんか誰でも出来る仕事じゃん、
と昨日までニートだったくせにぶつぶつ文句だけは一人前で、
その日の私は、日本一無愛想なレジ打ちだったと思う。

<>356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:26:50.18ID:6AvcAgYo<>
こんなクズにレジを任せるとか,店長大物wwww

<>367:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:31:09.02ID:L5z77960<>

仕事は非常にシンプルで、客の注文を厨房へ伝えて、出来あがったらお会計するだけ。
あとはぼーっとしててよし(と、勝手に決めていた)
お金はなんて楽に稼げるんだろうと思っていたが、
お昼のいわゆる「ピーク」を迎えてからが地獄だった。
次々入る注文を厨房へ回すと、忙しくてイライラしているおばちゃんが注文票をひったくってくる。
無意味に睨まれる。

客からは、「あんた愛想悪いわね」とイヤミを言われる。
「まだ出来ないのかよ!俺の時間を返せ!」とジジイに絡まれる。

忙しいのに、人数ギリギリなので、今日が初日の私には誰もフォローをつけてくれない。
なんたって、おばちゃん1人(朝いたもう一人のおばちゃんは、朝の仕込みだけで帰宅)
とトレーナー、そして私の3人だけ。

<>379:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:36:50.87ID:L5z77960<>
帰りたい帰りたいとずっと思っていたと思う。
それに、ずっと立ちっぱなしで腰も痛いし足も痛い。
ずっと使っていなかった頭で、注文の確認とかするから頭も痛くて、
せっかく出来あがった寿司を落としてしまったりもした。

作り直しになればまたパートのおばちゃんの機嫌も悪くなる。
ここにきてはじめて、「やっぱり仕事は大変かも」とはじめて思った。

地獄のピーク中、不機嫌なおばちゃんとてんぱる私、それでもトレーナーだけは元気いっぱいだった。
注文票だって、どんなに忙しくてもおばちゃんみたいにひったくって取らないし、
何より、とにかく握るのが早い。
いわゆる“シャリ製造機”から出てきた成型済みのシャリにネタを乗せるだけの作業をしてる
おばちゃんの横で、トレーナーは成型済みのシャリは使わず全部一から手で握ってた。

でもスピードも半端ないし、後片付けもしながら仕事してるし。
電話も出るし、洗い物もするし、握るし巻くし、とにかくくるくる動いてる。
ちょっとかっこいいと思った。

<>391:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:43:53.31ID:L5z77960<>

午後2時頃になって、ようやく注文も落ち着き、パートのおばちゃんは上がっていった。
次はまた別のパートさんが来るのかな、と思ってたら、
夜に一人バイトの子が来るだけで、あとはもう来ないと言ってた。
「土日に人を確保したいから、平日はあんまり人を入れられない」んだと言ってた。

扶養控除内で働くパートのおばちゃんばかりだから、
あんまり平日に来てもらっちゃうと土日に出勤出来なくなるんだって。

パートのおばちゃんが上がってからしばらくして、
トレーナーが「今から17時まで休憩してきていいよ」と言った。
3時間も休憩もらえるんだ、と思ったけど、
今から17時まではほとんどお客さんが来ないからトレーナー一人で十分らしい。

待望のまかないは、時間廃棄の巻物2本と、いなり寿司が3つだった。
「これだけですか?」と聞いたら、トレーナーが「あんた面白い事言うね」と言って、
「今日は初日だから特別ね」と、6カン入りの小さい寿司をその場で作ってくれた。

<>400:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:47:40.86ID:L5z77960<>

イカとかタコとか安いネタばっかりの握りだったけど、美味しかった。
元々そんなに食べるほうじゃないけど、
とにかく人生で初めての立ち仕事をした私は、疲れきってお腹がすいていた。
結局、まかないを全部食べて、妹が作ったお弁当も間食して、休憩室の畳で気付いたら寝ていた。
休憩中にばっくれるつもりだったのに、
「そろそろ戻ってきて」と声をかけられるまで目が覚めなかった私は、
脱走に失敗した兵みたいな気分になった。

<>406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:49:52.66ID:Q7gLo2AO<>
妹の弁当捨ててたら
命にかかわるパンチをしようと思ったけど
食べたか

<>415:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:54:27.03ID:L5z77960<>

売り場にしぶしぶ戻ったら、同じ年くらいのバイトがいた。
そういや夜にバイトが来るとか言ってたなと思って、
そのバイトをスルーしたらトレーナーに腕を掴まれた。
「朝やった事もう忘れたの?」と言われたので、めんどくさそうにバイトに 挨拶をした。
そのバイトは、19歳の大学生で、なんつーか、貫禄のある女の人だった。
お寿司大好きです!みたいな。言っちゃえばピザだ。
高校に入ってすぐにここでアルバイトをはじめて、もう4年目のベテランバイトらしい。
ピザは笑うと目がなくなる。それが見てて面白いと思った。

夜は、ピザがレジにつくと言ってた。
今日一日レジだと言われてたのに、と思ったけど、
どうやら私が打ったレジで5000円以上のレジミスがあったらしい。
先に言っておくが盗ってないぞ。
多分、1万と5000円を間違えたんだと思う。

<>425:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)04:58:58.83ID:L5z77960<>

レジミスをした日から数日は、レジを打ってはいけないとかいう決まりがあるようで、
「あんたには今日、私のサポートをしてもらうから」とトレーナーに言われた。
ついでに、厨房からピザのレジっぷりを見ておけと言われた。
チェーン店の中でも、なかなか売上の良いらしいうちのお店。
売り上げの半分は、あのピザのおかげらしい。

洗い物とかの雑用をしながらピザを見たら、仏様のような笑顔を客に振りまいていた。
ブッタみたいだと思った。なんか神々しい光を感じるくらいだ。
だって現に、ピザが寿司を手渡した客はみんな笑顔で帰っていく。
「また来るよ」と必ず言う。

<>427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)04:59:56.38ID:o2hh9IAO<>
ピザすげぇ

<>429:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:00:44.51ID:JVIoRIUo<>
ブッダだろうがwwwwww

<>432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:01:17.23ID:R0slvago<>
地味に巧い事いったよな

<>441:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:05:15.66ID:L5z77960<>
ピザ「○○(商品名)入りまーす!」
トレーナー「はいよー!」
と、お互い大声でかけあうのが何かかっこよく見えた。
店にも活気が出てくるようだし、「やるぞー!!」っていう気持ちがわいてくる感じだ。

トレーナーの、「はい、○○(商品名)あがるよー!」っていう掛け声も好きだ。
かっこいい。
出来あがった寿司にガリをのせながら、私も小さくその返事に参加してみた。

トレーナー「はいお待たせ!あがるよ!!」
私「あがるよ!」
トレーナー「はいよ!注文ありがとうございます!!」
私「ございます!」

中途半端な掛け声参加に、トレーナーが吹き出してしまって、
「掛け声するならちゃんと参加しなさい」と言った。

<>444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:06:11.34ID:o2hh9IAO<>
クズ子可愛いwwwwww

<>456:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:10:57.83ID:L5z77960<>

しかし私に手伝える事なんかほとんどない。
売り物にはまだ触らせてもらえないし、
洗い物とか、ガリ詰めとか、洗い物とか洗い物とか、そんな仕事しかできない。
掛け声には参加できるけど、所詮掛け声だけ。
私は何の役にもたててないじゃん、と思ったら、なんか虚しくなった。

仕事が終わってからトレーナーにそれを言ったら、
「初日から即戦力を目指すなんていい度胸だ」と言った。
どこもバイト初日なんかこんなもんらしい。

<>459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:11:53.24ID:o2hh9IAO<>
トレーナーさんいい人だなぁ

<>466:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:15:55.45ID:L5z77960<>

着替えながら、そういえば時給はいくらか聞かなきゃと思った。
時給740円だと言われた。通常780円なんだけど、研修期間で40円マイナス。
つまり今日、8時間働いた私は5920円稼いだ事になる。

バザーの時はあっというまに5000円稼げたのに、
あんな大変な思いして6000円くらいかよ。と思った。
また明日も9時に、
「履歴書と髪の毛のゴム、明日忘れたらまかない抜くからね!」と言われたので、
帰りに履歴書とやらをはじめて買ってみた。

帰ったら母ちゃんがリビングに鎮座していて、帰ってきた私に飛びついてきた。
「どうだった?」と聞かれたので、「一日中、はいよ!って言ってた」と答えた。

<>470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:17:17.65ID:D8IRhSko<>
はいよwwwwww

<>481:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:20:46.37ID:L5z77960<>

履歴書を書かなきゃいけないんだけど、はじめて履歴書をみて書く気が失せた。
どこに何を書いていいかわからないし、写真とか持ってないとも思った。

母ちゃんに履歴書の書き方を聞いたら、嬉しそうに教えてくれた。
修正液を使っちゃだめな事も、この時はじめて知った。
ただ、体じゅうが痛くて、もうめんどくさくて明日からはもう行かなくていいか、と考えてるのに、
履歴書とゴムはきっちり用意した矛盾が、今でも不思議だ。
母ちゃんに、明日何時?と聞かれたので、「明日はない」と嘘をついた。
また7時なんていう早すぎる時間にたたき起こされたらたまったもんじゃないしな。

<>485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:21:59.15ID:o2hh9IAO<>
481
おwwwwまwwww

<>489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:23:30.20ID:D8IRhSko<>
481
嘘はつくなwwwwww

<>495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:24:59.52ID:xDP8RMAO<>
なんだか俺はクズ子を通じてクズ子の母ちゃんに育ててもらっている気がする

<>498:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:26:34.62ID:L5z77960<>
一応目ざましだけはセットして寝た。
でも、起きたら9時ちょうどだった。
きっと目ざましがならなかったんだろう。

「遅刻!」と思ったけど、なんか遅刻するのもいやなので今日は行かない事にした。
布団に入りなおしてごろごろしてたら、家の電話が鳴りっぱなしになった。
無視したけど鳴り続ける。留守電に切り替わっても、またすぐにコールが鳴る。
あまりにうるさいので電話線を抜こうとも思ったけど、もし家族の緊急の用事だったら、
と思ったら心配になったので、電話に出てみた。
トレーナーだった。

トレーナーは、「早く支度しておりてこい」と言った。
おりてこい?どこに?と思っていたら、
どうやらトレーナーはマンションの下まで迎えにきたらしい。

<>508:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:30:37.21ID:L5z77960<>
鬱陶しいとかじゃなく、怖いと思った。
だってわざわざ家まで来るんだよ。バイトってちょっと遅刻しただけで家に来るの?
2ちゃんのバイト板でもそんなの見たことねーよとか色々考えた。
怖かったので、履歴書とゴムを持って寝巻のまま出かけた。
トレーナーは「具合悪くない?」と聞いたので、「大丈夫です」と答えたら、
「あんたは絶対今日休むか遅刻すると思ってたんだよねww」と言った。

自転車で二人出勤しながら、トレーナーに遅刻がいかにいけないか説教された。
半分以上聞いていなかったので内容は覚えてない。

<>516:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:32:52.06ID:aKe7EAAO<>
なんでそんなにマイペースになれるんだww

<>518:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:34:29.33ID:L5z77960<>

店についてすぐにトレーナーから「あんた昨日のピザちゃんを見てどう思った?」と聞かれた。
「仏みたいでしたね」と答えたら、笑ってたと思う。
「ちょっと笑ってごらん」と言われたので、にーっと笑ったら、
「今日一日、中で雑用しながらずっとその顔でいなさい」と言われた。
「それは疲れるので嫌です」とか言ったと思う。
昨日とは違うパートのおばちゃんが、「客商売は笑顔じゃなきゃダメなんだよ」と言った。

めんどくせーな、と思ったけど、
今日も寿司が食えるしトレーナーが見ている前だけでにーってしてればいいかと思った。

<>521:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:37:59.95ID:L5z77960<>

洗い物してたら、トレーナーに尻を叩かれた。
「顔が怖い!」と怒られた。
「生まれつきです」と反論したら、
「その生まれつき怖い顔を今日は仏様にする約束でしょ」と言われた。
洗い物の場所なんか客から見えないのにと思ったけど、怒られると鬱陶しいので言う通りにした。
1時間もたたずに、頬がけいれんし始めた。
笑顔を振りまいた事なんかないので、顔の筋肉が衰えているんだと思う。

眉間を寄せながら、それでもムキになって口角を上げていたら、
トレーナーに「あんた負けず嫌いだね」となぜか嬉しそうに言われた。

<>524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:39:13.15ID:o2hh9IAO<>
トレーナーが母ちゃんに見えてきた

524
あぁ、似てると思う。
ていうか働く女性ってみんなこうじゃないかな、
少なくとも私が出会った人はみんなトレーナーみたいな姉御肌ばっかりだった

<>531:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:44:04.95ID:L5z77960<>

今日は午後2時まででいいと言われた。
「早く上げてあげるんだから、明日は絶対遅刻するなよ」とクギをさされた。
まかないを食べて帰ってから、学校から戻った妹に、「お姉ちゃんて顔怖い?」と聞いた。
妹は、「分からない」と言った。
否定しないって事は多分怖いんだと思う。

顔が怖いというより、愛想がないんだと思った。
なんかむかついたので、その日一日鏡の前で笑顔の練習をしていたら、
母ちゃんから「あんたそれ気持ち悪いよww」と言われた。
黙ってれば怖いし、笑うと気持ち悪いんじゃ、もう駄目じゃんと思ったけど、
母ちゃんは「心がこもってない笑顔だからだよ」と言った。

「あんた何してる時が楽しい?」
「ゲームと、あと今はお寿司食べるとき」
「じゃあそれを想像しながら笑ったらいいと思う」
そう言われたので、その日から笑顔を作る時は、
うにとえんがわの事を想像しながら笑顔を作ろうと思った。
ちなみに当時の習慣で、今でも“笑顔を作ろう”と思うと、
走馬灯のようにうにとえんがわが頭に浮かぶ。

<>532:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:45:18.64ID:dNHPCQ6o<>
ヒロインはえんがわ

<>540:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:51:25.86ID:L5z77960<>

それから、毎日毎日寝坊しては、トレーナーが鬼のような電話をかけてくる日々が続いた。
しかしそこで思いついた。
体調わるいって言えば休めるじゃん!と。
なので、その日も朝起きられなくてトレーナーからかかってくる電話に出た私。
「今日は具合悪いので休みます」と伝えたら、「病院行かなくて平気?」と言われた。
なので、「いや、今行こうと思ってました。もう予約もしたし…」と答えたら、
「どこの病院?」と聞かれて一瞬てんぱった。
とっさに、近所の病院の名前をあげたら、「そこ今日は休診だよ」と言われた。
ニート生活が長過ぎて曜日感覚が薄かったが、どうやら今日は世に言う祝日らしい。

「あんたはまた嘘ついて!」と怒られたので、
「確かに今のは嘘だけど、またってなんですか!今までトレーナーに嘘ついた事はありません!
これがはじめてです!」
とムキ二なって反論した。

トレーナーは、墓穴をほった私の言葉に大爆笑していた。

<>544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:54:26.84ID:R0slvago<>
クズ子素敵過ぎるwwwwww
ウソはくなよwwwwwwww

<>545:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)05:55:48.02ID:x31dq2DO<>
プライドが無駄に高いなwwwwww

<>547:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)05:56:49.03ID:L5z77960<>

バイトをさぼる事に失敗した私は、めんどくせーめんどくせーと思いながらも、
とりあえず急いで職場に向かった。
遅刻癖の酷い私を嫌いなパートのおばちゃんは多くて、私の挨拶をおばちゃんの半数は無視した。
でっかい声で返事をしてくれたのは、ピザとトレーナーくらい。

あとから知ったけど、
トレーナーから何かと構われている私をパートのおばちゃん全員が快く思ってなかったようだ。
休憩に入っても私と口を聞く人はいなかったし、私の注文票だけに返事をしないとか。
あいにく、全然一目を気にしないマイペースな私は、それに辛いとか思った事はなかったけど、
器が小さいおばちゃん連中に腹がたってしょうがなかった。

<>797:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:25:34.37ID:L5z77960<>

パートのおばちゃんの粘着っぷりは凄くて、無視、聞こえるように悪口、
「いまどき中卒なんてwwww」
と聞こえるように陰口などなど。絵に書いたような女の職場の現状。
むかつくけど、どうでもいいとも思ってたので大抵無視してたけど、
一人だけ、そんな悪口大会に参加していなかったおばちゃんがいた。
もちろん私の事は快く思ってなかったみたいだけど、
それはトレーナーにかまわれているからじゃなくて、私の遅刻癖が激しいからとの理由。
おばちゃんなのに頭はボーズにちかい短髪で、なんとも男らしい人だった。

<>804:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:30:55.18ID:L5z77960<>

ある日トレーナーが午後から出勤の日、
9時からのはずだったバイトを当たり前のように11時近くに出勤してきた私を見て、
短髪のおばちゃんが「社長さん、おはようございます」とイヤミたっぷりに言ってきた。

ネタばれに近いけど、
でも今でも短髪のおばちゃんだけは、凄く尊敬しているのでなるべくおばちゃんとは呼びたくない。
以後短髪のおばちゃんは「浅見さん(仮名)」と表記する。

浅見さんは、このお店に来てからもう20年近いベテランパートさん。
今日だって、トレーナーが午後出勤なので私と浅見さんだけで
実質お店を回さなくちゃいけないのに、
私が11時に悠々と出勤してきたにも関わらず、掃除からシャリ炊きから準備から、
全て完璧に準備していた。

<>805:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)18:32:04.44ID:Rl0L2Rgo<>
重役出勤wwww

<>809:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)18:33:23.03ID:o2hh9IAO<>
クズ子が尊敬だと…?

<>812:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:35:42.42ID:L5z77960<>

浅見さんはめちゃくちゃ体が小さくて、化粧もほとんどしてなくて、ボーズ頭。
言葉遣いも汚いし、なんか男みたいな人だと思ってたけど、私は浅見さんが嫌いではなかった。
だって、トレーナー以外でシャリ玉(機械で成型されたシャリ)を使わずに
お寿司が作れるパートさんは、浅見さんだけだったし、
何よりもピザの次くらいにお客さん相手が上手いし。

「やるじゃん、このおばちゃん」
と心の中で上から目線で褒めていたのは、トレーナーとピザと、この浅見さんの三人だけだった。

<>814:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)18:36:41.92ID:2mRkIEDO<>
やはり上からwwwwww社長すごいですねwwwwww

<>820:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:39:50.09ID:L5z77960<>

なんだかんだで遅刻や突発の欠勤を繰り返しながらも、3週間まともに働いた私。
やればできるというか、やっぱり私は出来る子じゃん、とどこかでまた自信がついた。
トレーナーから相変わらず日々の笑顔を共有させられていたけど、
大分表情筋が豊かになったのか、
長時間笑顔を続けてもけいれんする事はすくなくなっていった。
今度機会があればうpするが、私はそんなに太っているほうじゃない、
というか、むしろガリに近いけど、ほっぺただけはクレヨンしんちゃんみたいだぞ。
多分、当時笑顔を作り過ぎて、笑顔のままで表情筋が固まったんだと思う。

<>822名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)18:41:30.94ID:2mRkIEDO<>
笑顔で固定wwwwww

<>825:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:46:35.85ID:L5z77960<>

その内、毎週ある平日の曜日は浅見さんと私で午前中を回すシフトで固定された。
浅見さんは、私が遅刻してくると決まって「社長さん、もう○時ですよ」と言った。
しかも、無表情。
言い方もかなりトゲがあるし、何よりも文句があるならもっとイヤミを言えばいいのに、
その一言しか言わない。
しれっと仕事をして、しれっと帰っていく。
なんかスマートすぎてかっこよくてむかついた。

<>829:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)18:49:36.68ID:.5AoHIso<>
浅見(仮名)さんに惚れた

<>845:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)18:59:39.03ID:L5z77960<>

他のおばちゃんと浅見さんが一番に違う点は、ほとんどイヤミを言わない所だ。
遅刻してきた時は、毎度おなじみのように「社長さん〜(略」と言われる。
だけど、それでおしまい。
他のババァなら仕事中ずっとイヤミを言われ続けるのに、
浅見さんはそれだけでおしまい。

なんか浅見さんにスキを見せるのが嫌になったので、
浅見さんと二人でシフトが組まれている曜日だけは寝坊しないようにしようと決めた。

<>855:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:02:29.06ID:9D/hJMDO<>
ちょっとだけクズ子更正の兆しが…

<>859:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:04:17.25ID:L5z77960<>

ある日、目が覚めたら8時30分だった。
今日は遅刻しないで済むと思って、いそいそと出かけた。
浅見さんと二人での日だったので、当然朝行けば浅見さんがいる。
遅刻しなかったでしょ、ほら偉いでしょ、という顔で浅見さんを見たら、
浅見さんは「あぁ、おはよう」と言うだけで、他には何も言ってくれなかった。
母ちゃんに褒められまくって育った私は、褒めてもらえないショックに、
ちょっとめまいを起こしたと思う。

<>862:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:05:58.32ID:JVIoRIUo<>
めまいwwwwwwwwwwなんという褒められ成れた子

<>863:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:06:06.86ID:ClvyXAAO<>
どんだけショックだったんだよwwww

<>864:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:06:08.52ID:WGsg9bw0<>
めまいってwwwwwwwww

どんだけ、褒めて伸びるタイプだよwwwwwwww

<>870:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:09:05.07ID:L5z77960<>

「遅刻しなくて偉いじゃん!」と褒めてもらえるだろうと想像していた私は、
もしかしたら浅見さんは、定時出勤してきた私に驚きすぎて、言えないだけかもしれないと思った。
だからその日は浅見さんの後をちょこちょこついていって、褒めてもらえるのを待った。
あとをくっついてくる私を、浅見さんはちらりと見て、たった一言「暑苦しい」と言った。
あっち行け、と手で追い払われて、
「褒めてもらえないんだ」
と思った私は、めちゃくちゃ傷ついて10分間裏でしょんぼり落ち込んだ。

<>880:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:13:18.91ID:L5z77960<>

家に帰ってから、母ちゃんにその話をしたら、母ちゃんは大笑いしていた。
「あんた、浅見さんの事が大好きなんだね」と言われたので、
「かっこいいとは思う」と返したら、
「かっこいい浅見さんに、かっこいい姿を見てほしかったんでしょ」と言われた。
遅刻しないで出勤しようと思ったのも、
浅見さんに認めてもらおうと思った証拠なんだと母ちゃんは言ってた。

でも、社会では遅刻新あいのは当たり前なんだと言われた。
当たり前の事をしても褒めてくれる“他人”はなかなかいないと言っていた。

<>884:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:16:55.49ID:WGsg9bw0<>
毎度毎度だが、母ちゃんはいいこと言うなぁ・・・

<>885:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:17:21.05ID:L5z77960<>

「じゃあどうやったら浅見さんは褒めてくれる?」と母ちゃんに聞いた。
母ちゃんは真っ白な歯をむき出しにして、
「その気持ちのまま、これからも仕事すればいい」とだけ言った。

「そのままの気持ちってなに」
「遅刻しないって決めたんんでしょ」
「うん」
「じゃあそのまま。もう遅刻しなきゃいい」

でも、遅刻しないのは当たり前で、
当たり前の事を褒めてくれる“他人”はそうそういないと母ちゃんが言ってたのに。
なんか、母ちゃんの言ってる事は矛盾だらけだと思った。

<>887:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:21:16.93ID:L5z77960<>

いきなり遅刻癖を直せと言われても無理なので、
とりあえず浅見さんと一緒の日だけは遅刻するのをやめようと思った。
ていうか、無理して起きなくても、「今日は浅見さんと一緒の日」という意識があれば、
自然と朝8時には目が覚めていた。
浅見さんには、ちゃんと大きい声であいさつした。
だって、あいさつくらいしか話す機会がなかったから。
浅見さんが大きいシャモジで炊きあがったシャリをかき混ぜる姿を見ながら、

浅見さん「クズ子ちゃん!あんたって凄い人だったんだな!」
私「まあね」
浅見さん「本当にいい子だ!あんたには寿司の握り方を教えてやりたいよ!」
私「まあね」

という妄想をした。

<>888名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:22:04.89ID:2mRkIEDO<>
これはひどい妄想wwwwwwwwwwww

<>894:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/18(土)19:23:32.56ID:T/ENWKko<>
「まあね」ってw
どこまで上から目線なんだww

<>895:クズ子◆6ClmPIZy/M:2009/04/18(土)19:24:17.32ID:L5z77960<>

気付けば、朝8時に起きる事が習慣になっていて、
浅見さんと同じシフトじゃない日でも遅刻しないようになった。と思う。
いや、5分くらいは遅刻してたかもしれないが。

それでもやっぱり、浅見さんは褒めてくれない。
トレーナーだけは「あんた変わったね」と言って、
「夕飯に家族で食べなさい」と3人前のパーティー寿司を持たせてくれたりしたけど、
浅見さんだけはやっぱり褒めてくれない。
褒められない病気なのかな?と本気で思っていた。

続編:うちの母ちゃん凄いぞ 前編

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2017年7月18日 | 近親相姦体験談カテゴリー:修羅場の体験談

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